●Tyler Cowen, “Sleep on it”(Marginal Revolution, January 22, 2004)
安眠は、思考力を高め、問題解決を促す助けとなるかもしれない。
ドイツの研究チームがはじめて明らかにしたところによると、人間の脳は寝ている間も日中にうまく解決できなかった問題に取り組み続けており、十分な睡眠――8時間睡眠――をとることで、すんなりと問題の答えに辿り着くことができるかもしれないという。
十分な睡眠がひらめきや問題解決と密接に関わっている可能性については世間で当然のように思われてきたが、ドイツの研究チームによる実験結果は、そのことを裏付ける最初の動かぬ証拠だと言えるだろう。件の実験には関わっていない別の研究者も語っているように、過労気味の社会人や学生に対して「睡眠こそが、時として最高の良薬だ」との警鐘を鳴らしていると言えよう。
・・・(中略)・・・
ドイツのリューベック大学に籍を置く研究チームは、ボランティアを募って簡単な数学のクイズを課した。ボランティアは、一旦クイズに取り組んだ後に別々のグループに分けられた。睡眠を8時間とった後に再びクイズに挑戦したグループは、寝ずに(徹夜で)クイズに取り組み続けたグループよりも、正解に辿り着く割合が3倍ほど高かったという。詳しい実験結果は、ネイチャー誌に近々掲載される予定になっている。
全文はこちら。肝心の論文はこちらだ。ちなみに、私はぐっすり眠った後に本ブログの過去エントリーを見返す習慣があることを申し添えておこう。
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●Tyler Cowen, “Two things I learned about sleep”(Marginal Revolution, October 11, 2003)
レム睡眠が不足すると精神に異常をきたすという古くから伝わる考えは、かなり説得力のある証拠によって否定されている。
この後には次のような但し書きが続くが、文中で言及されている「これまでの研究」に国が研究費を出していないことを願うばかりだ。
とは言え、これまでの研究によると、眠っている最中に繰り返し小突かれたりして睡眠の邪魔をされた人は、イライラしやすくなることは確かなようだ。
次の話は知ってたろうか?
必要な睡眠時間を左右する重要な要因の一つは、体のサイズのようだ。体が大きな動物ほど、必要な睡眠時間は短い傾向にある。これまでの研究によると、睡眠は、脳細胞に生じたダメージを修復する役割を果たしていることが知られている。体の小さな動物ほど、代謝が活発な傾向にあり、代謝が活発なほど、脳細胞に生じるダメージの量は増える。それゆえ、体の小さな動物ほど、脳細胞を修復するためにより多くの時間が必要となって、睡眠時間も長くなるらしいのだ。
ちなみに、オポッサムの睡眠時間は1日18時間、象の睡眠時間は1日3時間らしい。
詳細は、サイエンティフィック・アメリカン誌(2003年)11月号の記事 “Why We Sleep(pdf)”(「我々はなぜ眠るのか?」)をご覧になられたい。