――というのが,『ブルームバーグ』に書いた最新コラムの話題だ.ちょっと抜粋してみよう:
〔政府による〕規制をすすめる過程を考えてみよう.合衆国では,新たに規制をつくって実施するまでに,多くの場合に,コメントを受け付ける期間をおくのが典型的だ.いまのところ,そのコメントは人間がつくっていると想定されている.だが,ChatGPT を活用すると,利害関心のある集団が,このシステムに洪水のようにコメントをあふれかえさせることが可能になる.パブリックコメントをつくる際にソフトウェアの支援を利用することを禁止する法律はないし,もっと言えば法的文書でもそれは同様だ.必要があればいつでも人間がおだやかな変更を加えることもできる.
ChatGPT は,関連する文書が幅広く利用できるときに最良の結果を出すようだ.その点では,法律はほぼ理想的な主題だ.だから,コメント受付過程がものの1年ほどで瓦解しても,ぼくは驚かない.とはいえ,ソフトウェアで生成されたコンテンツを政府が排除するには,具体的にどうすればいいんだろう?
ソフトウェアフォーラムの Stack Overflow では,すでに ChatGPT コンテンツを禁止している.ChatGPT によって,手に負えないほど大量の投稿がなされていまったからだ.問題は,具体的にどうやって禁止を実行するかだ.
もちろん,合衆国の政治システムの脆弱点は,規制に関するコメントだけにかぎられるわけがない.ChatGPT なら,特定の政策について賞賛したり不満を述べたりする手紙やメールを下院の議員にかんたんに送りつけられる.その手紙やメールの文面は,少なくとも,多くの有権者が書くだろう文章と遜色ないものになるはずだ.遜色ないどころか,もっと上手に書けてもおかしくない.時間がたつにつれて,利害関心のある各種の集団による ChatGPT の採用が進んでいって,人がつくったのではないが知的なコンテンツを政治システムにあふれかえさせることだろう.
誤解を避けるために言うと,これで世界が崩壊するなんて思ってはいない.ただ,これによって〔パブリックコメントのような〕手続きレベルに大きな変化は起こるだろうと見ている.そして,そこから〔政治・行政の〕実質にもいくらか波及効果もでてくるだろう.コラムの締めくくりには,もはや手垢のついたやり方だけど,「どんなことが起こるかな?」って ChatGPT に聞いてみたんだけど――