ニューヨーク連銀のブログ――Liberty Street Economics――より。
“These ‘Clams’ Really Were Money” by New York Fed Research Library:
貨幣は、ありとあらゆる形態をとり得る。例えば、貴金属が貨幣として使われたことがある。他には、ビーズ、貝殻のネックレスなんかも。ヤップ島では巨大な石 [1]訳注;リンク先の記事は、本サイトで訳出されている(227thday氏が訳者)。以下がそれ。 … Continue readingが貨幣として使われている。とは言え、どれもこれも遠い昔の話かどこか遠くの国の話と思われがちだ。しかしながら、カリフォルニアでは1933年(!)の段階でもハマグリの貝殻が貨幣として使われていたのだ。
時は、大恐慌真っ只中の1933年。国中が銀行パニックで揺れていた。銀行が倒産する前に預金を引き出そうと大勢の人が必死になっていた。取り付け騒ぎを鎮(しず)めるために、ルーズベルト大統領がバンク・ホリデーを宣言したのが1933年の3月。国中の銀行に4日間の休業を命じたのである。それに伴い、国民の多くはお金を退蔵しはじめた。世の中に出回るお金の量が減ると、ビジネスを続けられるようにするために、あちこちで臨時通貨――あるいは、「スクリップ」――の発行が相次いだ。例えば、カリフォルニア州のピズモ・ビーチで薬局を営んでいたライター氏は、ハマグリの貝殻を臨時通貨として発行した。ハマグリの貝殻をお釣りとして渡したのである。その貝殻の持ち主が変わると、ペンで署名が付け加えられていった。お金(法定通貨)が再び世の中に出回るようになると、ライター氏が営む薬局にその貝殻を持って行けば換金――お金(法定通貨)と交換――してもらえた。他にも色んな臨時通貨が出回ったのである。
〔原文:“Money Creation”(Economist’s View, August 27, 2011)〕