アレックス・タバロック 「ロイヤル・パープルの謎 ~紫色が王家の色と見なされたのはなぜか?~」(2004年8月10日)

●Alex Tabarrok, “Royal Purple”(Marginal Revolution, August 10, 2004)


かつて、紫色(貝紫色)はロイヤルカラー(王家の色)と見なされていた。どうしてそうなったのだろうか? その答えは、美学・・・にではなく、経済学にある。紫色は、自然界の中で珍しい色だった。古代の人々が身にまとうトガを染色するためには1.5グラムの染料が必要とされたが、それだけの染料を調達するには12,000匹の巻貝を入手せねばならなかった。ティリアン・パープル(貝紫色)の染料は、アッキガイ科の巻貝の鰓下腺(パープル腺)から得られる分泌物が原料となっていたのだ。

伝承によると、貝紫色を発見した功績は、ヘラクレス――いや、正確には、彼が連れていた犬――に帰せられている。レバントの海岸沿いを散歩していた時に、巻貝を噛み砕く犬の口が紫色に染まっているのを発見したというのである。巻貝から得られた染料を使ってローブを紫色に染め上げ、それをフェニキアの王に贈ったところ、王の口から「フェニキアを支配する者は、王(王家)のシンボルとして紫色の衣装を身に付けるべし」との命令が下されたというのだ。

衣装を紫色に染める習わしは、ローマ帝国の特権階級の間でも広まった。己の富を誇示する(見せびらかす)ために、紫色の衣装が身に付けられたのである。貝紫色をめぐるエピソードは、スノッブ財あるいはヴェブレン財の興味深い例の一つだと言えるだろう。というのも、紫色が高価な色じゃなかったら、あんなにもありがたがられることもなかっただろうからだ。さて、今はどうだろう? 今も紫色は強く求められているだろうか? 紫色の染料が他の染料よりも(価格にして)25~50%くらい高いようであれば、みんなこぞって(安い)別の色に流れていってしまうことだろう。一方で、紫色の染料のお値段が他(の染料)よりも500倍も1000倍も高くなれば、自己主張のための手段として求められることになるのだ。

先の文章は、こちらから引用したもの。ティリアン・パープルに関するもっと詳しい情報――「もうたくさんだ」と感じられるほど、詳しい情報――は、こちらを参照のこと。

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