[Julia Cagé, Anna Dagorret, Pauline Grosjean, Saumitra Jha, “Heroes and villains: How networks of influential individuals helped destroy one of the world’s most durable democracies and legitimise a racist, authoritarian state,” VoxEU, January 17, 2021]
要旨
合衆国のキャピトルヒルで今月おきた出来事を彷彿とさせる重大局面が歴史上にはいくたびか起きている.そうした局面では,退役軍人や政治的英雄までもが国家に反抗する暴徒たちに加わっていた.このコラムでは,フランスにおける極右支持者やナチ協力者たちに関する新しい証拠を利用して,軍事的英雄などの影響力ある人々の外生的ネットワークによって民主的価値観がいかに損なわれうるかを示す.「オーバートンの窓」を広げてそれまで極めて不快だと思われていた考え方をまともなものに思わせるうえで,英雄たちは特別な立場にある.そうしたアイデンティティを共有する人々の社交ネットワークは,この影響を伝播し強化して,思想信条への傾倒を深め政治的立場を固くしバイアスの修正をいっそう難しくすることにつながりうる.