タイラー・コーエン 「妻に一笑に付されて:保険編」(2005年7月14日)/「家電の延長保証には加入するなかれ」(2006年10月4日)

妻(経済学者ではない家族の一員)を説得するか、はたまた妻を説得するのをあきらめて保険に入るか。
画像の出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/22463525

「ねえ、お前。エアコンの故障に備えて、わざわざ保険に入る必要なんてないんだよ。何か保険に入るなら、破滅的な出来事――家を傾かせるような(自己破産を招くおそれのある)出来事――に備えるためだけに限るべきなんだよ。こう考えてみようじゃないか。 保険会社は儲けなくちゃいけない。諸々の経費を賄(まかな)わなくちゃいけない。そのためには、保険料収入が保険金支払額を期待値で測って上回らなくちゃいけないんだ。ということはつまり、保険会社が提供する商品(=保険)というのは、買い手(被保険者)に対して期待値で測ってマイナスの金額の支払いを約束する商品なんだよ。僕らはもちろん金持ちじゃないけど、エアコンの修理代なんて僕らの稼ぎに比べたら微々たるもんじゃないか。エアコンの修理代くらいの金額の範囲なら貨幣の限界効用は一定だろうから、期待値で測ってマイナスの金額の支払いを約束する商品を買うっていうのは損になるんだよ。エアコンの故障なんていうちっぽけな災害に備えるために、お金を無駄にすべきじゃないんだよ。」

「妻に一笑に付されて」シリーズの第一弾はこちら

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期待効用を計算してもまだ納得できないようなら、これならどうだろうかね。

製品の延長保証の売り上げが当期純利益(最終損益)に占める割合については、(米国の大手家電量販店である)サーキット・シティー社もベスト・バイ社も明らかにしていない。しかしながら、その割合は少なくとも50%に上るのではないか――家電の売れ行きが芳しくない年には、100%に達することもあるのではないか――と試算するアナリストもいる。

全文はこちら。電子版ではなく紙媒体の同じ記事によると、デスクトップパソコンを購入してから3年以内に故障する――すなわち、修理を要する――確率は 37%らしい。どうしても延長保証に(追加料金を払ってまでして)加入したいのなら、まあそうすりゃいいと思う。でも、延長保証に(追加料金を払って)加入するのは、a) 潜在的な損失がバカでかいか、b) 妻が加入しろと言ってきかない場合に限るべきだろう。

「消費者の近視眼(短期思考)、無知、企業による製品価格の隠蔽」がテーマのガベックス(Xavier Gabaix)&レイブソン(David Laibson)の優れた共著論文はこちら


〔原文:“Claims my Russian wife laughs at (a continuing series)”(Marginal Revolution, July 14, 2005)/“Don’t buy product warranties”(Marginal Revolution, October 4, 2006)〕

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