●Tyler Cowen, “How to spot a liar”(Marginal Revolution, August 22, 2004)
大勢の被験者を集めた実験によって、嘘をついている人が取りがちな行動パターンがいくつか明らかになっている。嘘をついている人は、嘘をついていない人に比べると、会話の最中に体の一部(腕、手、指)を動かしたりまばたきしたりするのが少ない傾向にある。声はどうかというと、緊張気味で甲高くなりがちだという。嘘をついている人が会話の最中に体の一部を動かすことが少ないのは、なぜなのか? 発言の途中で口を閉ざす(一呼吸置く)ことが多いのは、なぜなのか? その理由は、少し前に口にした発言を覚えおいて話に矛盾がないようにするために、余分な努力を払う必要があるせいかもしれない。嘘をついている人は、嘘をついていない人に比べると、言い間違いをすることが少ないし、言い忘れや不正確だった細部について補うために話を前に戻すことが滅多にないという〔太字での強調は、私によるもの〕。
「嘘をついている人が語る話は、あまりにうまく出来過ぎているんです」。そう語るのは、ベラ・デパウロ(Bella DePaulo)氏。カリフォルニア大学サンタバーバラ校で社会心理学を研究している学者で、「欺瞞」研究の分野で展望論文をいくつも物している人物だ。
嘘をついている人は、相手を騙している最中に、恐れや罪悪感(といったマイナスの感情)を感じているかもしれない。場合によっては、喜び(といったプラスの感情)を感じているかもしれない。そのような感情が顔に表れることもあり得る。しかしながら、表情が変化するにしてもあまりに微妙なので、多くの人はそれに気付かない可能性がある。そのような微妙で一瞬の表情の変化を「微表情」(microexpressions)と名付けているのが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の元教授で心理学者のポール・エクマン(Paul Ekman)である。エクマンによると、表情の微妙な変化は、相手が嘘をついているかどうかを見抜く上で、ジェスチャー、声のトーン、会話のパターンと同じくらい大事なヒントになるという。
ごく一握りではあるが、相手の嘘をいとも容易く見破れる超人的な能力の持ち主もいるようだ。
サンフランシスコ大学の元教授であるモーリン・オサリヴァン(Maureen O’Sullivan)によると、連邦捜査官や法医学心理学者のようなプロを集めて実験をすると、ごく少数ではあるものの、相手の嘘を見破るのにずば抜けている人物に出くわすという。「そのような能力の持ち主に一人か二人は出くわしますね」とオサリヴァン。
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