タイラー・コーエン 「暇な時間に経済学を学びたいというあなたへのお薦め」(2007年6月12日)

●Tyler Cowen, “How to study economics in your spare time”(Marginal Revolution, June 12, 2007)


本ブログの読者である tommy から次のようなコメントを頂戴した。

大学で化学を専攻しているのですが、空いた時間に経済学を独学で勉強したいと考えています。夏休みが間近に迫っているので、経済学を学ぶために割ける時間も普段よりは確保できると思います。ミクロ経済学&マクロ経済学の初歩(基礎)からはじめて上級レベルまで進めたらいいなと思ってます(もちろん、ひと夏だけでそこまでいけるわけがないのは承知しています)。経済学の講義は、これまでに一度も受講したことがありません。とは言え、一応は科学を学んでいる身(理系の人間)ですので、数式がテンコ盛りでも何とかなると思います。

経済学のテキスト(教科書)なり、学術誌に掲載されている論文なり、経済学者が著者の影響力のある本なりで、どれを薦めたらいいだろう? どんな順番で読むべきかについても何かアドバイスできるだろうか?

最初の一歩としては、我々が定期的に巡回しているお気に入りのブログ――Blogs We Like――を欠かさずチェックするといい。そうするのが最良だ。次のステップとしては、経済学の基礎を学びたくて分厚い本でも構わないようなら、マンキューのテキスト(邦訳『マンキュー入門経済学(第2版)』/『マンキュー経済学 I ミクロ編(第3版)』/『マンキュー経済学 II マクロ編(第3版)[1] 訳注;原書は第7版まで出ているが、邦訳は第6版の訳。)に挑戦してみるといい。マンキューが経済学部生向けに夏休み中に読むといい本を何冊か推薦している〔拙訳はこちら〕ので、それも参考にするといい(ハイルブローナーの『入門経済思想史:世俗の思想家たち』は個人的には好きじゃないけれど)。アーノルド・クリング(Arnold Kling)がネット上で公開しているテキストも、拙著の『In Praise of Commercial Culture』もお薦めだ。できることなら、ジョージ・メイソン大学で研究室を借りたいところだ。タバロックとか、ブライアン・カプラン(Bryan Caplan)とか、ロビン・ハンソン(Robin Hanson)とかとしょっちゅう喋るのが、経済学を学ぶための絶好の方法だからだ。数学がバリバリ使われていても構わないようなら、ハル・ヴァリアン(Hal Varian)の(大学院レベルの)ミクロ経済学のテキスト(邦訳『ミクロ経済分析[2] 訳注;原書は第3版まで出ているが、邦訳は第2版の訳。)、エリック・ラスムセン(Eric Rasmusen)の『Games and Information』(邦訳『ゲームと情報の経済分析』)、ミルトン・フリードマンの(ちょっと古いけれど)価格理論のテキスト(邦訳『価格理論』)あたりに挑戦してみるといい。あとは、ミクロ経済学の練習問題をポックリいく(息絶える)まで解きまくればいい。

この通りにしなくちゃいけないわけじゃない。読書の計画を練ったところで計画通りにはなかなかいかないだろうし、計画に縛られるべきでもないだろう。脱線したって構わない。気の向くままにやりたいことをやるといい。

他に何かお薦めはあるだろうか?

References

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1 訳注;原書は第7版まで出ているが、邦訳は第6版の訳。
2 訳注;原書は第3版まで出ているが、邦訳は第2版の訳。
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