アダム・トゥーズ「中国の抗議活動について抑えておくべく情報一覧」(2022年11月28日)

新疆ウイグル自治区のウルムチで起こった火災による死亡の情報によって引き起こされた中国各地での抗議活動の前後関係を理解するため、私が贔屓にしているツイッター等の情報源をまとめてみた。


メルボルン州立図書館前の行われた〔ウルムチでの火災死亡者の〕追悼式

https://twitter.com/whyyoutouzhele/status/1597257489334292480

新疆ウイグル自治区のウルムチで起こった火災による死亡の情報によって引き起こされた中国各地での抗議活動の前後関係を理解するため、私が贔屓にしているツイッター等の情報源をまとめてみた。

中国からのニュースや画像については、@whyyoutouzheleのフォローをお勧めする。彼は、抗議活動の内部からの報告や映像において、最も信頼できる情報源の一つだ。

インターネット上には、偽情報を拡散したり、中国の治安当局に変わって手がかりを探し回る荒らしや監視アカウントが溢れているため、信頼性が極めて重要な問題となっている。中国国内だけでなく、世界中で行われている抗議活動や集会は、中国の保安当局者によって監視されている。在外中国人は、監視や工作員で疑心暗鬼になっている。

ウルムチでの火災の犠牲者についての情報が、中国のソーシャルメディアを通じてどのように広まったかについては、オリバー・ヤングがチャイナ・デジタル・タイムズに書いた素晴らしい記事がある。

あるWeChatのエッセイストは、ウルムチの火災への批判を政府が検閲したことに激怒し、「好、好、好、好、好、好、好、好、好、好、好、好、好、好、好、好、好、好、好、好!」と題した風刺的な文章を書いた。エッセイの本文は、通常のWeChatの形式に従いつつ、全ての文章を画像を「好」という文字に置き換えたのだ。このエッセイは、即座に検閲によって削除されたが、他のネットユーザー達は、この「好」エッセイをテンプレにして、様々な文字に置き換え、工夫をこらした模倣活動が行われている。そうした活動の多くも、検閲によって削除されている。チャイナ・デジタル・タイムズでは、以下にその「好」記事からの派生物のサンプル(とそれに付随した様々なコメント)を翻訳して提示する。

抗議活動参加者たちの、勇気、想像力、ブラックユーモアは感動的だ。

@tony_zyは、皮肉たっぷりにコメントしている。

警官が、抗議活動参加者たちに「ロックダウンを止めろ!」と唱えないように要請すると、参加者たちは、「さらなるロックダウンを!」「コロナの検査をしたい!」と唱えて応じた。皆、注目して欲しいのは、この勇敢な行為は、受動的攻撃性を武器とする、中国における最高の知恵が内包されていることにある。

清華大学では、学生たちは数式を使用した。


エリート大学である清華大学の学生たちは、フリードマン方程式で抗議した。私は、この方程式の意味は全く分からないが、問題ではない。
発音だ。これは “free的man” (自由人)に似ている。知性を保ちながら、目を引く、創造的な表現方法だ。

https://twitter.com/nathanlawkc/status/1596842009364500481

中国についての神話の一つに、抗議活動は筆舌に尽くしがたい圧政によって封じ込められている、というものがある。〔これは事実に反しており〕実際には、労働者、農民、学生、その他グループによる抗議活動は比較的頻繁に行われている。中国を少し知っただけでも、制服警官への敬意は、日常的にほとんど払われていないことに驚くだろう。警官への陰口や嘲笑は、ありふれている。

より幅広く歴史的経緯に踏み込みんだ上で、これ〔日常レベルの抗議活動〕が現在の抗議活動の波及にどんな意味を持っているのかについては、以下のスレッドで素晴らしい分析が行われている。


私は25年間、中国での講義と論争の政治について様々な側面から研究してきた。

今起きている事態は、いままでにないものであり、興味深く、将来を見越すのに非常に重要だ。しかし、結論を出したり、予測するにはまだ時期尚早だ。
1/22
@CamGeopolitics
@NCUSCR

https://twitter.com/wjhurst/status/1596722048717709312

現在の一連の抗議行動は、厳格なゼロ・コロナ政策の非人道性と、それが中国全土の一般市民に与えた悲惨な結果、そしてこの措置で明示化されている権威主義的精神と、それが習近平への個人崇拝と同化していることへの反発が引き金となっている。しかし、こうした問題を、習近平の個人的なプライドに原因があるとしてしまうと、中国政府が直面しているジレンマを矮小化してしまうだろう。〔コロナによる〕公衆衛生上の災害の脅威は、2022年であれ、2020年であれ、中国も世界の他の地域と変わらない。中国政府が、現在直面している悲惨なジレンマは、国外でのパンデミックをコントロールできない事実と、国内でのオミクロンへの防御を強化できなかったことの結果である。


中国のコロナ事情は、現状、芳しくないようだ。当局は、自縄自縛から出口の無い迷路に迷い込んでいる。次に何をするとしても、あるいは何らかの選択に追い込まれるとしても、非常に大きな代償を支払うことになるだろう。
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https://twitter.com/BallouxFrancois/status/1596834202569175040


中国は、コロナの大規模な急増への備えが極めて不十分である。過去の感染によって免疫を獲得している人口は非常に少なく、高齢者のワクチン接種率も悲惨なまでに低い数値となっている。
4/

https://twitter.com/BallouxFrancois/status/1596834217182121985


中国の人口層は、特段に若くなく、健康でもない。そして、医療制度は、特に大都市以外では脆弱だ。コロナ患者が急増すれば、簡単に圧倒されてしまうだろう。
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https://twitter.com/BallouxFrancois/status/1596834224337977347

香港も2022年初頭にこの問題に直面し、公衆衛生上の大惨事を引き起こし、コロナウイルスの累積死亡率は、驚くべき水準に急増している。


@paulhaenle @adam_tooze
mRNAワクチンで解決できるだろうか?
私が住んでいるオーストラリアでは、ニュージランドと同様にmRNAワクチンを広範囲に使用している。このオーストラリアの死亡率のデータを中国に適用すると、50万人から100万人の死者が出ることになるだろう。
つまり、「mRNA」は実際の「解決策」ではなく、「フェイルセーフ(安全装置)」のようなものだと考えられる。

https://twitter.com/RichardfromSyd1/status/1597215926046580738

ここで問題となっているのは、習近平が煩わしいゼロコロナ政策を頑な主張してることだけではない。大量死を引き起こす可能性の高いパンデミックの発生とそれによる自国の脆弱な医療システムへの根本的な挑戦という明確なリスクを、中国政府が意識的かつ公に許容できるか、というこことにあるのだ。この許容は、習近平と彼のシナリオにとって、大惨事となるだろう。そして、中国という国家にとっても災難となるはずである。2020年2月の武漢や、2020年3月のニューヨークの悪夢の再来となり、おそらく中国政府はさらに厳しいロックダウンと、病院機能を維持するために苦闘に苛まれるだろう。さらに、中国では、「この2年間の経験はそれしかあり得なかった。西欧諸国の政策には弊害がある」とのプロパガンダが打ち出されているため、〔政策転換が行われれば〕政府は国家的な大失敗として自覚的に受け入れることになるだろう。バローが指摘しているように、状況はどう転ぶかわからないといったものではなく、悲惨な行き詰まりとなっている。明確な出口戦略は存在していない。

唯一の、現実的な選択肢は、最も障壁となっているグループ、つまり超高齢者を対象としたワクチン接種キャンペーンの大幅な加速である。これを行えば、より複数の選択肢を保持しつつ、懸命なロックダウンを行うための政策余地が生まれるだろう。一方で、こうなれば、中国政府は、現在の政策を継続しつつ、「突発的な公的事件」を弾圧する緊急プランを作動させ、抗議活動に対応するだろう。こうした、政権による弾圧の可能性については、@hcsteinhardtが素晴らしい考察を行っている。


中国で最近、論争の的となっている出来事〔抗議活動〕に、中国政府がどのような対応を取るかについて、憶測がいくつか飛んでいる。中国政府は、〔抗議活動を〕「突发公共事件(突発的な公的事件)」として認識している。中国政府では、緊急事態への対応プランが詳細に区分化されており、当局がどのように対応すべきか指示している。これを簡単に説明しよう。

https://twitter.com/hcsteinhardt/status/1596951590736662529

スタインハートは、2020年に『現代中国』誌に発表した論文「脅威にさらされた安定を守る:センシティブな時期と、中国都市部における抗議活動の弾圧」で以下のように述べている。

(…)センシティブな時期での安定性の維持は、通常の想定以上に硬直的なものではなく、管理された措置であるように思われる。これは、中国の都市部において、強制的な措置は、〔あまり実施されず〕かなり微調整されていることに示されている。国家は、想定されているセンシティブな時期や突発的な時期を管理する際には、抗議活動を未然に防ぐ措置を取っている〔強い取り締まり処置は避けようとする〕。しかし、政治秩序が通常よりも脆弱だと想定している時期においても、中国政府は、相当数の諍いを容認し、コストのかかる即応的な弾圧を回避している。

中国政府が直面している悲惨な行き詰まりと、それがもたらす圧政の可能性を考慮すると、絶望を回避する選択肢は存在しているのだろうか?

ツイッターで、このテーマでの、私の目に留まった過去の振り返りは以下の2つだ。一つ目は、ティムール・クランによる1989年の東欧革命のショックについての論文「前例なき脱却:1989年の東欧革命における驚くべき要素」に言及しているものである。


〔ティムール・クランによる〕素晴らしい論文はここで読むことができる。
「中国での抗議活動の意味を理解するために、何か1つだけ読むとしたら、ティムール・クランの「前例なき脱却:1989年の東欧革命における驚くべき要素」だ。ツイッターのスレッドにまとめることは不可能な内容なので、引用は行わない。ただ、全文を読んでみてほしい。その価値はある。過去の考察からの示唆をいくつか得ることができる」

https://twitter.com/michaelxpettis/status/1597140643146440704

魯迅の1922年の有名な論説『吶喊自序』である。


「希望は未来に存在しているのだから、〔現在の〕私が「絶対に無い」と証明したところで、彼〔昔馴染みの友人〕が「有り得る」と言うのを説き伏せることは決して出来ない。」
魯迅『吶喊自序』1922年 [1]訳注:『吶喊自序』はGoethe_chanの翻訳を参考している

https://twitter.com/chowleen/status/1596706319808995330

Chartbook #176 The protests in China – a reading list
Poted by Adam Tooze, On Nov 29 2022

References

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1 訳注:『吶喊自序』はGoethe_chanの翻訳を参考している
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