アレックス・タバロック 「バーナンキ議長が大暴露 ~『紙幣なんてただの紙切れに過ぎないんですよ』~」(2010年2月17日)/タイラー・コーエン 「『ジ・オニオン』の記事を真に受けた例 ~嘘は嘘であると見抜ける人でないと・・・~」(2012年9月30日)

●Alex Tabarrok, “The Dangers of Common Knowledge”(Marginal Revolution, February 17, 2010)


【ワシントン】今週に入って、アメリカ経済はその機能を完全に停止するに至った。ベン・バーナンキFRB議長による思いも寄らない発言――「『貨幣』という存在の根源にまつわる」思いも寄らない発言――がそのきっかけだ。アメリカ国民は、気付かされたのだ。貨幣なんていうのは、無価値であり、社会的に構築された幻想に過ぎないということを。

・・・(略)・・・「現段階では、政策金利を引き上げる予定はありませんが、状況に応じて適切に対応するつもりなのは言うまでもありません。仮にですが、仮に、・・・」。そこまで語ると、バーナンキ議長はしばらく口をつぐんで、手元にある原稿に目を落とした。そして、何も信じられないといった様子で頭を左右に振ると、再び口を開いた。「あのですね、どうだっていいんですよ。これ、いわゆる『お金』と呼ばれているこれですがね、どうだっていい存在なんですよ」。

両目を大きく見開いたバーナンキ議長は、自分の財布から紙幣を掴(つか)み出すと、目の前でゆっくりと広げた。そして、言葉を継いだ。「幻想に過ぎないんですよ。これを見てください。何の変哲もないただの紙切れです。ただの紙切れに数字が印刷されてるだけです。何の価値もないんですよ」。

その場に居合わせた目撃者の証言によると、上院財政委員会の面々は、雷に打たれたような衝撃を受けて、一斉に静まり返ったという。その静寂を破ったのは、オリン・ハッチ上院議員(ユタ州選出の上院議員。共和党所属)の叫び声。「何てことだ! 議長の言う通りだ。何もかもが幻影なんだ。お金にしても、経済にしても、すべてがまやかしなんだ」。

たちまち、議事堂に金切り声が響き渡った。その場にいた全員が出口に向けて一目散に駆け出したのだ。誰もいなくなった議事堂には、ビリビリに破かれた紙幣があちこちに散乱していたという。

・・・と、『ジ・オニオン』が報じている。全文はこちらだ。

———————————————-

●Tyler Cowen, “Fooled by satire”(Marginal Revolution, September 30, 2012)


イランの通信社が、『ジ・オニオン』によるでっち上げの調査結果を事実として報じた。バラク・オバマとマフムード・アフマディーネジャード(イラン大統領)が選挙で争ったとしたら、どちらに票を投じるかを尋ねたところ、アメリカ国内の田舎に暮らす白人の大半がアフマディーネジャードに票を投じると答えたという架空の調査結果が『ジ・オニオン』のウェブサイトに掲載されたのである。

風刺が専売特許の『ジ・オニオン』の調査結果を一言一句違わずにそっくりそのまま報じたのは、イランの半国営通信社Farsの英語版サイト。

Farsの英語版サイトでは、アフマディーネジャードとなら一緒に野球の試合を見に行ってもいいと語る架空の人物(ウェストバージニア在住という設定のデール・スウィデルスクなる人物)の発言も、そっくりそのまま引用されている。ちなみに、その発言は以下の通り。「アフマディーネジャードは、国防について真剣に考えています。オバマは、ゲイのデモ隊が国防について口出しするのを容認しましたが、アフマディーネジャードならそんなの絶対に許さないでしょうね」。

全文はこちら

Total
0
Shares
0 comments

コメントを残す

Related Posts