アレックス・タバロック 「観光ビザの海外旅行抑止効果」(2013年7月30日)

●Alex Tabarrok, “The High Costs of Travel Visas”(Marginal Revolution, July 30, 2013)


アメリカ人は幸運だ。ヨーロッパや南アメリカの大半の国々が観光目的で入国してくるアメリカ人にビザの取得を求めなくなっている(ビザなしでの入国を認めるようになっている)からだ。しかしながら、海外からの観光客にビザの取得を求めて、国境の内側に足を踏み入れにくくしている国は、まだかなりある。その多さには驚かされるばかりだ。海外からの観光客なんてまっぴら御免という国も中にはあるだろうが、インドのような国までもが――観光業に大きく頼っている民主主義国のインドまでもが――観光でやってくる入国者に手間と時間のかかるビザの取得を今もなお求めているのだ。

ロバート・ローソン(Robert Lawson)&ソーラフ・ロイチョードリー(Saurav Roychoudhury)の共著論文によると、海外からの観光客にビザの取得を求めることにはかなり大きなコストが伴う可能性があるという。

本稿では、ローソン&レムケ(2012)によって作成された観光ビザに関するデータベースと、世界銀行および国連世界観光機関(UNWTO)によって収集されている海外旅行者数のデータを組み合わせて、観光ビザの取得要求が海外旅行を抑止する効果の測定を試みる。海外からの観光客に求めるビザの取得要件の厳しさ(を測る指標)が世界全体で1標準偏差だけ増すと、外国人観光客の総数は30%減少する傾向にある。任意の二国間(A国とB国)での観光客の行き来に話を限定すると、A国がB国からの観光客に求めるビザの取得要件の厳しさ(を測る指標)が1標準偏差だけ増すと、A国を訪れるB国の観光客の数は70%減少する傾向にある。海外からの観光客にビザなしでの入国を認めるようにすれば、それに伴ってかなり大きな便益が生まれる可能性があるのだ。

ケインズも『平和の経済的帰結』の中で書いているように、1914年以前には「パスポートもいらなければ、その他の形式的な手続きも一切抜き」で世界の大部分を旅して回れたのだ。

Total
0
Shares
0 comments

コメントを残す

Related Posts