タイラー・コーエン 「白人、男性、怒り」(2022年9月27日)

どうやら白人男性はエリートになれやすい(エリートになるためのハードルが低い)ようだという情報が広まると、白人男性の能力に対する世間の評価が下がる。すると、あらゆる階層の白人男性(すべての白人男性)が自尊心を傷つけられて、怒りを抱くことになる。
画像の出典:https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=1527525

社会階層の枠を超えて、多くの白人男性が怒っている。本稿では、「能力に対する世評」が白人男性の怒りの源泉となっている可能性を探る。各人は、自分がどの社会階層に属しているか(エリートかそうじゃないか)を気にかけるだけでなく、自分の能力に対する世評(自分の能力について周りからどう思われているか)も気にする。エリートになれる条件が曖昧じゃなくなって、どうやら白人男性はエリートになれやすい(エリートになるためのハードルが低い)ようだという情報が広まると、白人男性の能力に対する世間の評価が下がる。すると、あらゆる階層の白人男性(すべての白人男性)が自尊心を傷つけられて、怒りを抱くことになる。それとは対照的に、エリートになるためのハードルの格差を是正する(白人男性以外もエリートになれるチャンスを広げる)措置(政策)に対して、(すべての白人男性から反対する声が上がるのではなく)一部の白人男性から支持する声が上がる一方で、(白人男性以外の人たち全員から支持する声が上がるのではなく)白人男性以外のグループ(マイノリティ)の一部から反対する声が上がる可能性がある。 本稿で得られた分析結果に照らして、「#MeToo」運動や「黒人の命は大事」(Black Lives Matter/BLM)運動といった最近の出来事への世間の反応をどう解釈したらいいかについても手短に論じる。

ステファン・ウォルトン(Stephane Wolton)の論文のアブストラクト(要旨)より。微妙で見過ごされがちな側面に目が向けられている。 微妙な面に目が届くケヴィン・ルイス(Kevin Lewis)経由で知った論文だ。


〔原文:“White, Male, and Angry”(Marginal Revolution, September 27, 2022)〕

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