タイラー・コーエン「企業が《差別に鋭敏》になる理由はなに?」(2023年2月8日)

〔※文化的なキーワードの “Woke” を,ここでは《差別に鋭敏》と訳しています.〕

中間管理職のせい,ってこと!?

「《差別に鋭敏》な企業とは,社会に関して進歩的な大義に奉仕することを誓っている企業をいう.なかでも,批判理論のレンズをとおして理解した多様性・公平性・包摂に関心を注ぐ.企業の重役たちのあいだでも,人口全体でも,《差別に鋭敏》な思想が体系的に支持されているという証拠はほとんどない.また,《差別に鋭敏》になっても企業の業績が改善するようにも見受けられない.では,これほど多くの企業が《差別に鋭敏》な政策・態度をとるようになっているのは,どうしてだろうか? 本研究では,《差別に鋭敏》になるのは創発的な戦略であり,オーナーやトップ経営陣や従業員ではなく中間管理職たちによってその大部分が形成されているという分析を提示する.本研究では,代理人理論,制度理論,組織内生態学の諸説にもとづいて,次の点を論じる.すなわち,《差別に鋭敏》な態度は中間管理職とサポート職員から現れる.彼らは代理人としての責務と専門家の地位を利用して《差別に鋭敏》な組織内見解の支持を広める.これによって,彼らの影響力と雇用の安定が強化される.〔個別の企業にとどまらない〕より広範な社会的・文化的な傾向がこのプロセスをさらに強める.本研究では次の点を議論する.組織内行動と顕示行動(パフォーマンス,たとえば世間にそれと認識された企業偽善(「見せかけだけの高尚な広告」)),意見の多様性を制限することで想像力が失われかねないこと,たえず変わり続ける文化の潮目に企業が遅れずついてゆく必要があること――こうしたことからどのような帰結が生じているのか.

上記は,Nicolai J. Foss & Peter G. Klein の新論文からの抜粋.Via 慧眼な Kevin Lewis.

[Tyler Cowen, “Why do companies go Woke? Marginal Revolution, February 8, 2023]
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