(“Syrian Refugees, Jelly Beans, and Murderers,” Marginal Revolution, November 19, 2015)
シリア難民をジェリービーンになぞらえるミームが出回ってる:
《誰かがジェリービーン 50,000個入りの袋をもってきて,このうち 100個は毒入りだよと言われて,「はいそうですか」ともらうやつなんかいるか? だったら,何人かろくでもないのが混じってるというのに50,000人の難民を受け入れたりするかね?》
ジェリービーンも数字もぼくの好物だ.そこで,ちょっとチラシの裏で計算してみた.アメリカには,年間およそ 15,000件の殺人事件が起こる.大半の殺人事件では,ひとりしか殺されてない.連続殺人ですら,平均して 2.8 人しか殺されてない [PDF].ってことは,15,000 って数字はおおよそ1年あたりの殺人犯の人数とみてもそう外れてはいない.
さて,人々は平均して50年生きると仮定しよう――まあ,ちょっと短すぎだけど,他方で殺人犯の数字はちょっと大きめにとってる〔ので,ざっくりした計算には間に合うだろう〕.すると,いまの人口にはだいたい 15,000×50=750,000 人の殺人犯がでてくるわけだ.
計算した直後には,「ぼくらのなかに 750,000人も殺人野郎がいるなんてずいぶん多いな」って思ったけど,いま現在,殺人で牢屋に入ってる人はおよそ 166,700 人いて,しかも,750,000人のなかにはまだ殺人犯になってないのもいるし,なかには捕まらないやつもいるだろう.そう考えてみると, 750,000人って数はおそろしげではあっても,妥当な推定だろう.
現在のアメリカの人口は 3億2200万人だ.すると,1人あたり .0023人の殺人犯って計算になる.つまり,殺人犯は 1,000人中 2.33 人―― 50,000人中 116 人だ.言い換えると,アメリカで赤ちゃんが50,000人生まれたら,そのうち 116人は大きくなって誰かを殺害するわけだ.(NYMag はアンケートをやり直した方がいいのかも?).これと対照的に,さっきのジェリービーンなら,毒入りは 50,000個中 100個だけだ.
こうしてみると,シリア難民=ジェリービーンって,アメリカ人=ジェリービーンと比べてけっこうよさげに見える.
追記:ジェリービーンにとどまらない計算を Alex Nowrasteh がやってる.