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アレックス・タバロック 「シラーのトリル」

●Alex Tabarrok, “Shiller on Trills”(Marginal Revolution, December 19, 2013)


この短い記事の中で、ロバート・シラーは彼のマクロ市場に関する研究の基本的アイデアの一つを説明している。

世界の政府は、GDPの株式を発行するべきだ。つまり、GDPの指定された割合を配当として永遠に(あるいは、公開市場で政府が買い戻すまで)投資家に払い続ける有価証券だ。政府は、歴史的な負債による資金調達に終止符を打つ必要がある。政府がGDPの株式を発行するのは、企業が株式を発行するのと同じようなものだ。私はカナダ人の共同研究者マーク・カムストラとともに、GDPの1兆分の1の株式を発行することを提案しており、これを「トリル」1と呼んでいる。たとえば去年で言えば、アメリカのトリルは配当として15.09米ドル、カナダのトリルは1.72加ドルを支払うことになる。この配当は、毎年GDPが発表されるたびに変化するので、株式市場と同じで、この変化を予測することが、投資家たちの関心を呼ぶことは間違いない。現在の国債が満期になって、借り換えの必要がある場合には、政府は債務削減プログラムの一部として、トリルを競売にかけることができる。

この記事の中で、シラーは、負債と比較した場合のトリルの利点を強調している。

従来の負債をトリルで代替すると、政府のレバレッジを下げることにつながる。このことの重要性は、ヨーロッパの債務危機で極めて明白になった。トリルによって政府に求められる支払は、GDPによって測られる国の支払い能力に連動している。

トリルはさまざまな種類の保険商品のベースにもなり得る。たとえば、GDPが低下したときに払い戻されるような保険は、ビジネス・サイクルの問題を緩和するだろう。また、トリルの市場は、予測や政策の評価にも利用できるだろう(初期テストについてはGurkaynak and Wolfersを参照)。将来のトリルの価値を増やすのはどの政策だろうか。同じように、トリル市場の変化がアイオワ政治市場2の変化とどのように相関しているかを観察することにより、(株式や債権市場だけでなく)GDPに最も貢献する政治家を特定することもできるだろう。

シラーのマクロ市場に関する研究は、拙著「企業家経済:陰鬱な科学からの冴えたアイデア」3の中でも取り上げている。この研究は、シラーの研究の中でも最も先見的で、ノーベル賞にふさわしいと思う。4

  1. 訳注: 1兆は英語で「trillion」なので、それを略して「Trill」ということらしい。 []
  2. 訳注: 「Iowa Political Markets」の訳。アイオワ大学のティッピー・ビジネス学部で実験的に運営している市場で、選挙の結果などを賭けることができる。詳しくはこの記事この記事を参照。 []
  3. 訳注: 原題は「Entrepreneurial Economics: Bright Ideas from the Dismal Science」。この記事の時点では邦訳はまだなさそう。 []
  4. 訳注: もちろん、ロバート・シラーは2013年にすでにノーベル経済学賞を受賞している。ただし、授賞理由は「資産価格をめぐる実証的な分析(for their empirical analysis of asset prices)」なので、ひょっとしたら、タバロック的にはこのマクロ市場理論の方が評価が高い、と言いたいのかも。 []

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