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タイラー・コーエン「ジェフリー・ミラーの新著『消費資本主義!』」

[Tyler Cowen, “Spent: Sex, Evolution, and Consumer Behavior,” Marginal Revolution, April 29, 2009]

――というジェフリー・ミラーの新著が出た.ミラーといえば,『恋人選びの心:性淘汰と人間性の進化』の著者として有名だ.議論の展開にはちょっとまとまりがないけれど,いちばんよく書けてる部分はぞくぞくするほどたのしい.おすすめ.手にとってすぐに読み始めてよかったと思ってる.

本書の核心部分をなす説は,ウェブレン的な論点だ.進化でかたちづくられた生物学的な生き物としてシグナリングにのめりこんでしまうぼくらが抱える弱点にマーケティングはつけこんでいるとミラーは言う:

進化心理学者としての観点から考えると,消費資本主義はまさしくこんな具合の仕組みになっている:〔子供を残しやすい〕適合度に関連するのぞましい性質をみせびらかす自然の適応を消費資本主義は忘れさせて,そうした性質を見せびらかすうえで人工の製品が実態以上にうまく機能するかのように思わせる.記述のレベルをとりちがえた漠然とした言葉(富,地位,趣味のよさ)をあの手この手で繰り出したり,個人差の研究で発見されているこのうえなく安定した遺伝可能で予測力のある性質を見えにくくすることによって,消費資本主義はぼくらが見せびらかそうと試みてる性質について混乱させる.プレミアム価格の製品を購入するといかにも地位や性的な見返りがえられるかのようにつつましげにほのめかす一方で,そういう主張を明言するのは拒絶する. 消費者団体が「それは実証的に虚偽だ」なんてつきとめたりしては困るし,はっきり明言したせいでじぶんの個人的動機があらわになってしまった有力な誰かの気分を害してもいけないからだ.こうして生まれる正味の結果は,「根本的な消費者妄想」とでも呼べるだろう――ふつうの会話や協力や抱合で見せびらかす自然の性質についてよりも,消費主義の支出をとおして見せびらかす人工物の製品の方を他人はもっと気にかけているという妄想がそれだ.

大いに賛成する.ミラーは,シグナリングのコストを下げることは可能だと言って(規制によらない)方法をいくつか提案している.(「高級車を買うべからず!」) ミラーのいう6要因モデルからわかる個人的なタイプを示すイレズミでもした方が信頼できて検証可能ってことでもっと効果的かつ安上がりになったりするだろうか?

本書については,近いうちにまた考えてみるとしよう〔続きはこちら〕.

〔2017.12.06更新: Spent の正式な邦訳タイトルに書き換えました〕


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