●Tyler Cowen, “Are autocratic successors less fierce?”(Marginal Revolution, September 13, 2005)
仮説A:独裁者の後継者は、先代に比べると、気性が穏やかだと予想される。気性の荒い後継者は、先代の独裁者にとって恐怖の対象となるからだ [1] … Continue reading。
仮説B:世襲君主制下では、権力欲(権力への愛)が培われない。世襲で跡を継ぐ面々は、初代――その座を力ずくで手に入れた初代――に比べると、気性が穏やかだと予想される。ゴードン・タロックによる説だ [2]訳注;Gordon Tullock(著)『Autocracy』――この本は、タロック選集の第8巻である『The Social Dilemma: Of Autocracy, Revolution, Coup d’Etat, and … Continue reading。
仮説C:独裁者の地位の継承(後継者選び)が問題となるたびに熾烈な権力闘争が繰り広げられるよりも、穏便な権力移譲を保障する仕組み [3] 訳注;世襲制はそのうちの一つ。を通じて後継者が選び出される方が好ましい [4]訳注;世襲制は、クーデターを抑制する効果を持つ可能性がある。詳しくは、こちらの論文――Peter Kurrild-Klitgaard, “The Constitutional Economics of Autocratic … Continue reading。
仮説D:穏便な権力移譲を保障する仕組みを通じて選ばれる後継者の気性が穏やかなようなら、穏便な権力移譲を続けていくことは徐々に(代替わりが繰り返されるにつれて)難しくなっていくと予想される [5] … Continue reading。
仮説E:何度もしつこく企(くわだ)てられるクーデターの試みをどうにかして未然に防ぐことができれば、経済成長への道が開かれる。
独裁制に関するジョナサン・クリック(Jonathan Klick)の論文はこちら。独裁制から民主主義への体制転換がテーマのダニエル・サッター(Daniel Sutter)の論文はこちら。ネオ・ラオホ(Neo Rauch)の別の作品はこちら。
References
↑1 | 訳注;独裁者が生前にその座を退いて跡継ぎを指名するとなったら、自らの身の安全を守るためにも、気性が穏やかな人物を後任に選ぶ可能性が高いと予想される。後継者の気性が荒いと、場合によっては国外追放されたり殺害されたりするかもしれず、絶えずビクビクしながら日々(独裁者としての地位を退いた後の余生)を過ごさねばならなくなるかもしれないためである。 |
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↑2 | 訳注;Gordon Tullock(著)『Autocracy』――この本は、タロック選集の第8巻である『The Social Dilemma: Of Autocracy, Revolution, Coup d’Etat, and War』にも収録されている――で展開されている仮説。 |
↑3 | 訳注;世襲制はそのうちの一つ。 |
↑4 | 訳注;世襲制は、クーデターを抑制する効果を持つ可能性がある。詳しくは、こちらの論文――Peter Kurrild-Klitgaard, “The Constitutional Economics of Autocratic Succession”――を参照されたい。世襲制がその国の経済成長に及ぼす影響については、例えばこちらの論文――Timothy Besley&Marta Reynal-Querol, “The Logic of Hereditary Rule: Theory and Evidence”――を参照されたい。 |
↑5 | 訳注;おそらくは、政府の転覆を狙ったクーデターが誘発されやすくなるという意味だと思われる。独裁者の気性が穏やかだと、クーデターが発生してもそれほど抵抗せずにあっさりとその座を明け渡すかもしれない。言い換えると、独裁者の気性が穏やかなほど、クーデターが成功する――それも、犠牲をそれほど伴うことなく成功する――見込みが高まって、クーデターが誘発されやすくなるかもしれない。 |