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サイモン・レン=ルイス「医者としての経済学者」(2017年4月6日)

Simon Wren-Lewis, “Economists as Medics” (Mainly Macro, 6 April 2017)

先日、経済学はいろんな点で医学に似ているという私の長年の見解についてツイッターで絡まれた。もちろん経済学は正確には医学のようではない。ダニエル・ハウスマン曰く、経済学は不正確な遊離科学だ。しかしほとんどの医者が何に時間を費やしているか考えてみてほしい。彼らは高度に不確かな環境で問題解決の仕事をしていて、限られたヒントみで先に進まなくてはならない。彼らは一部の問題に対する解決策を持っているが、そうした解決策が信頼できる度合いはさまざまである。 [Read more…]

サイモン・レン-ルイス 日本とその公的債務負担 (2017年8月18日)

Japan and the burden of government debt  (Mainly Macro, Friday, 18 August 2017)

Posted by Simon Wren-Lewis

日本について十分書いているとは言えない.今となっては,私の投稿の一部がありがたいことに日本語に翻訳されている1のだから,その埋め合わせをしてみるべきだろう.実際,ちょうど日本経済について書くべき大変よい理由がある.それは,非常に強かった2017年第2四半期のパフォーマンスである.年率換算した成長率は4%で,それに比べて英国は1.2%だ.最近の日本の成長に関して特に励まされる点は,貿易でなく内需に主導された成長であるという点だ.過去において日本は,英国と正反対の問題を抱えていたように思われる.すなわち,成長が貿易依存であり,内需が弱かった.

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  1. 訳注: こちらをどうぞ []

サイモン・レン-ルイス ネオリベラリズムと緊縮 (2016年10月21日)

Neoliberalism and austerity, (Mainly Macro, Friday, 21 October 2016)

Posted by Simon Wren-Lewis

ネオリベラリズムというものは首尾一貫した政治哲学などではなく,むしろ人々が議論を重ねるうちに広まった,相互に関連したアイデアの寄せ集めだと思っている.『民間セクターの起業家こそが富の創造者であって,国はただ彼らの邪魔をするだけだ』とか.『民間のビジネスにとってよいことイコール国の経済にとってよいことだ』とか(たとえ独占力を増したりレントシーキングを伴うものだったりしても).『民間ビジネスや市場に,国や労働組合が介入するのは常に悪である』とか….こうした考え方が支配的なイデオロギーとなっている現在では,誰もわざわざ自分たちのことをネオリベラルと呼んだりする必要はない.

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サイモン・レン=ルイス「ウソつき政治」

[Simon Wren-Lewis, “The politics of lying ,” Mainly Macro, August 11, 2017]

世間では「政治家はみんな嘘つきだ」と言うけれど,政治家がみんなドナルド・トランプと同レベルの不誠実ぶりだという意味ではとてもじゃないけれど言えない.とはいえ,政界での嘘つき具合を計るにはどんな方法があるだろう?
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サイモン・レン=ルイス「景気後退後の緊縮が永続的な影響を残す理由」

[Simon Wren-Lewis, “Why recessions followed by austerity can have a persistent impact,” Mainly Macro, July 12, 2017]

経済学を学ぶ学生は,早いうちからこう教わる.「短期的には総需要がものをいうけど,長期的な産出を決めるのは供給側だぞ.」 もうちょっとましな言い方をすると,「短期的には供給が需要に合わせて調整される一方で長期的には需要が供給に合わせて調整される」ということだ.この考え方のカギを握っているのは,「(好景気であれ景気後退であれ)短期的な需要の動きから長期的な供給は独立している」という点だ.かつては,この単純な考え方がきわめて有用だった.このポストに載せているイギリスのデータを見てほしい:石油危機もあったしマネタリズムや欧州為替相場メカニズム離脱後の景気後退〔ポンド危機にはじまる景気後退〕もあったにも関わらず,イギリスの一人あたり産出量は第二次世界大戦後に 2.25% のトレンドに復帰しているように見えた――
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サイモン・レン-ルイス ヘリコプターマネーと財政政策 (2016年5月20日)

Helicopter money and fiscal policy, (Mainly Macro, 20 May 2016)

Posted by Simon Wren-Lewis

ジョン・ケイ とジョージ・ビボウ は2人とも政府の公共投資支出はよいアイデアだと思っており,そしてヘリコプターマネー(ヘリマネ1 )は目眩まし(ビボウ)ないしはごまかしによる財政政策(ケイ)だと思っているようだ.彼らは公共投資については正しいが,ヘリマネについては間違っている. [Read more…]

  1. 訳注: 原文ではHM []

サイモン・レン=ルイス「柔軟な労働市場は中央銀行家にとって問題か?」

[Simon Wren-Lewis, “Is a flexible labour market a problem for central bankers?” Mainly Macro, August 2, 2017]

景気後退が起きたり経済が下向いたりするのは,典型的に,財への総需要が不十分になっている結果だ.これを終わらせる方法はただひとつ,何らかの方法で需要を刺激するしかない.勝手に需要が刺激されることもあるだろうし,金融政策担当者が金利を引き下げたために需要が刺激されることもあるだろう.総需要不足が起きているかどうか知るにはどうすればいいだろう? 失業率が高くなってきたらそうとわかる.財への需要が低下することでレイオフを行ったり新規雇用を抑えたりする動きがでてくるからだ.
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サイモン・レン-ルイス 緊縮を定義する (2015年12月7日)

Defining austerity  (Mainly Macro, Monday, 7 December 2015)

Posted by Simon Wren-Lewis

最近のダブリンでの講演で私が示した緊縮の定義は,一般に広く使われているものではないが,よい定義だと自分では思っている.もっとも一般的な定義では,単に国家予算の赤字を削減しようとして財政支出を切り詰めたり増税したりすること,ということになるだろう.この定義の問題点は,ニック・ロウが不平を唱えていた(邦訳)通り,これでは財政健全化 (fiscal consolidation)という用語と同じになってしまうということだ.緊縮とは単に大幅な財政健全化のこと,と言ってもよいかもしれないが,これでは弱いように思う.

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