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アレックス・タバロック「7回目のあとで観客が素面に戻ると犯罪件数はどうなる?」(2021年3月14日)

[Alex Tabarrok, “Sobering Up After the Seventh Inning,” Marginal Revolution, March 14, 2021]

酔っ払いは犯罪を行いやすい.これをつきとめるべく,意外ではないけれど賢い方法を Klick & MacDonald の研究が用いている.野球スタジアムでは,7回裏でアルコール販売を終了する.でも,7回目から試合終了までの時間は試合ごとにちがっている.試合終了時には酔いが醒めている場合もあるし,そうでない場合もある.じゃあ,試合が長引いた場合と短時間で終わった場合のそれぞれで,どんなことが起きてるんだろう?

本研究では,メジャーリーグベースボール (MLB) のスタジアムにおけるアルコール摂取が地域レベルの犯罪件数にどう影響しているか検討する.MLB スタジアムでは,慣例として7回目のあとアルコール飲料の販売を終了する.野球の試合時間は決まっていないため,7回目終了時にアルコールを最後に注文した時点から試合終了までの時間は試合ごとに大きく異なる.これにより,アルコール消費と試合日のスタジアム近辺における犯罪との関係を推定する独特な自然実験がもたらされる.

犯罪データは 2006年~2015年のフィラデルフィアから取得し,人気スポーツバーと MLB スタジアム周辺地域のジオコードを付与した.本研究では差分の差分回帰分析モデルにもとづいて,アウェイの日の犯罪件数とチーム〔フィラデルフィア・フィリーズ〕がホームの試合を行っている日の犯罪件数のちがいをふまえて,延長で試合時間が延びた場合のスタジアム周辺から都市の他の地域での犯罪とフィラデルフィアのスポーツバー近辺での犯罪がどう変化しているかを推定した.

7回目以降にアルコール販売が終了したあと試合が延長になり試合時間が長引いた場合,スタジアム周辺の犯罪は有意に減少する.2012年にスタジアムの駐車場でスポーツバー複合施設が開業すると,アルコール販売終了による犯罪減少の便益は消失している.この研究結果からは,野球の試合中のアルコール摂取が犯罪件数を増やすのに寄与していることがうかがえる.


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