経済学101は主に皆様の寄付によって賄われています。温かい支援をお待ちしています

スコット・サムナー「シュレディンガーのインフレ」(2021年10月23日)

[Scott Sumner, “Schrödinger’s inflation,” TheMoneyIllusion, October 23, 2021]

目下のインフレが一時的なのか永続的なのかをめぐって,論争が盛り上がっている.ただ,多くの人たちは問いの解釈を間違っているんじゃないかと心配になる.つまり,インフレそのものの性質が一時的かどうかって問いなんだと誤解してはいないだろうか.〔誤解してる問いは〕ちょうど,遠くの方を歩いてる動物が犬なのかコヨーテなのか,「あれはどっちだろうね」と友達にたずねてるようなものだ.

だが,インフレが一時的かどうかって問いは,その手の問いとはぜんぜんちがう.ここでの問いは,いまこのときに進行中のインフレが一時的か永続的かって問いじゃない.ここでの問いは,インフレ率の急上昇が一時的になるか永続的になるかだ.向こうを歩いてる動物が犬になるかコヨーテになるかなんて,誰もたずねたりはしない――そいつの正体はすでに決まっているのだと想定されてる.

名目 GDP 成長率は,この2年ほど 4% を少しばかり下回って推移してる.これはおおよそ正しい,もしも名目 GDP 成長率がこれから 3~4年にわたっておよそ 4% で推移していったなら,インフレは一時的なものになる.一方,もしも 7%~8% でこれから数年ほど推移していったなら,インフレは永続的なものになるか,少なくとも,比較的に長く続くことになる.単純な話だ.(1971年~81年にかけて,名目 GDP 成長率は平均で 11% だった.どうか,またあんなことが起きませんように.)

これから数年の名目 GDP 成長率を決定するのは,FRB だ.住宅不足や労働量不足やサプライチェーンの混乱なんかじゃない.インフレが一時的になるか永続的になるかを決めるのは,FRB だ.

いまのインフレ率急上昇は,ちょうど,シュレディンガーの猫みたいなものだ.FOMC が集まって今後 3~4年の名目 GDP の政策経路を選ぶまで,インフレは一時的でも永続的でもない.彼らがかしこく選択してくれるのを願おう.

PS. もちろん,ぼくは「多世界」マンだ.なので,少なくとも1つの宇宙ではぼくの予測が正しいと主張するつもりだよ(で,どれがぼくの予測なんだろうね?)🙂


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください