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タイラー・コーエン「インフレのトリレンマ」(2021年5月13日)

[Tyler Cowen, “The inflation trilemma,” Marginal Revolution, May 13, 2021]

みんなも知っているとおり,物価インフレ率は 4.2% という数値が出てきた.予想よりもずっと高い.これを見ても大した問題じゃないと言い続けたい人たちは多いし,もしかしたら彼らは正しいのかもしれない.でも,次の3つの見解は同時にとれない:

  • #1. 所得分配はほんとにモノを言う.
  • #2. 労働者たちの交渉力はとても十分とは言えない.交渉や再交渉で労働者たちは不利な立場にある.
  • #3. 物価インフレ率が高くなるのは問題ではない.

労働者たちが交渉で名目賃金を引き上げてそれまでの実質賃金を維持できないかぎり,物価インフレ率が高くなれば,〔実質〕賃金は下がる.これに対して,「〔物価上昇で〕名目の債務が軽くなるから貧しい人たちも得をする」と反論があるかもしれない.でも,a) 将来の賃金に比べて債務は高くならざるをえないし,b) 賃金にも配分機能や動機づけ機能があるし,c) インフレを相殺するくらい労働者賃金が上がらなかったら,将来の借り入れコストはいまより高くなる――「ただ名目の金利が上がってるだけ」なように見えるとしても,実質値でもコストは高くなる.


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