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タイラー・コーエン 「『国家の能力』と武力衝突」(2014年10月31日)

●Tyler Cowen, “State capacity and military conflict”(Marginal Revolution, October 31, 2014)


ニコラ・ジェンナイオーリ(Nicola Gennaioli)&ハンス=ヨアヒム・ヴォス(Hans-Joachim Voth)の二人が「『国家の能力』と武力衝突」と題された論文(pdf)を物している。レビュー・オブ・エコノミック・スタディーズ(RES)誌に近々掲載予定とのこと。論文のアブストラクト(要旨)を引用しておこう。

国民所得の大きな割合をコントロールする(高い徴税能力を備えた)強力で中央集権化された国家がヨーロッパに姿を現すのは1500年以降に入ってからである。かような国家は戦争におけるカネ(資金力)の重要性が高まるのに伴って出現する至ったことをモデルを使って説明するのが本論文の目的である。戦争の勝敗を左右する上でカネがそれほど重要な役割を果たさない場合には、いずれかの相手(外敵)と武力衝突しかねない脅威に晒されると国家の能力開発に勢いがつくどころかむしろ逆に歯止めがかかることになる。その一方で、戦争の勝敗を左右する上でカネが決定的な役割を果たす場合には、国ごとの権力構造の違い(権力が集中しているか分散しているか)に応じて国家の能力に徐々に格差が生まれることになる。(権力が一極に集中している)統一国家は国内を統治する能力の向上(徴税能力の強化)に熱心に取り組む一方で、(群雄が割拠している)分断国家はそのような能力構築競争から(割に合わないと判断して)自発的に降りるからである。本論文で特に強調したいのは(戦争におけるカネの重要性を高めるのに貢献した)「軍事革命」――戦争(武力衝突)のあり方を一変させた一連の技術革新――の役割である。なお、本論文では計374件の武力衝突の事例を参照して戦争におけるカネの重要性や近世ヨーロッパにおける国家建設のパターンについて実証的な検証も行う。現実の証拠はモデルから導かれる予測と整合的というのが我々の結論である。

本論文はマーク・コヤマ(Mark Koyama)に教えてもらったものだ。


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