タイラー・コーエン 「スパムメールへの反撃 ~我ら、詐欺師討伐隊!~」(2004年6月21日)

●Tyler Cowen, “Spam revenge”(Marginal Revolution, June 21, 2004)


ナイジェリアの王子を名乗る人物からのメールで、やけくそ気味に「大金を振り込みたいから、銀行口座を教えてくれないか」と何度も尋ねられて、うんざりさせられた経験はないだろうか? 自称・ナイジェリアの王子(をはじめとした詐欺師)への反撃を試みている勢力があるようだ。

・・・(略)・・・スパムメールを送り付けてくる詐欺師との直接対決を試みる勢力――自称・詐欺師討伐隊――が地球上のあちこちで産声を上げている。詐欺師を騙すために、偽名を使うのが彼ら流のやり方だ。それっぽい名前を名乗ることもあれば、突飛な名前――例えば、「ミロのヴィーナス」だとか、「ダース・ベイダー」だとか――で立ち向かう強者もいる。目的は、詐欺師をからかうこと・・・だけではなく、詐欺師の時間とリソースを奪うことにもある。

反撃方法は、無限にあるようだ。

・・・(略)・・・裕福な実業家を装って、ピアポント・エマニュエル・ウィーバーと名乗った詐欺師討伐隊の一人は、ガーナにいる詐欺師から「我々の金鉱でとれる金塊を180万ドルで買わないか」との商談がメールで持ち込まれると、うまく言いくるめて――「知り合いの化学者が実物を確かめる必要があるとしつこく言うものですから云々」――100ドル相当の金塊をインディアナにまで送り届けさせるのに成功したという。詐欺師に自虐的な文言が書かれたプラカードを持たせて、その姿を写真に収めるのに成功した例もある。その後、その写真はネット上に投稿されたという。代金を受け取るために何百マイルも旅してきた挙句に、手ぶらで来た道を戻っていった詐欺師もいるらしい。

ネブラスカ州のリンカーンで製造業を営む会社の役員でもある男性(47歳)は、詐欺師を相手にした悪ふざけを3年ほど続けているらしい。「奴らの右往左往ぶりには、腹を抱えて笑わせてもらいました。こちらが払った犠牲といえば、時間くらいです」とのこと。「奴らの時間をたんまりと奪ってやりました。偽の文書を作らせたり、馬鹿げたプラカードを持った写真を撮らせたり。『送金したので、受け取りに来てください』と伝えると、遠路はるばる、ウェスタンユニオン社にまで駆けつけてきましたね。実際のところは、一銭たりとも送金してないんですけどね。偽物の小切手をわざわざ拵(こしら)えて、こちらに送り届けてきたこともありましたね」。動機について尋ねると、次のような答えが返ってきた。「奴らの時間とリソースが奪われたおかげで、不運な――不運であると同時に、欲深い――犠牲者を一人でも減らすことができていたらと願うばかりです」。

全文はこちら。ネット詐欺の手口を詳しく紹介しているサイトはこちら(ネット詐欺を食い止める方法も紹介されている)。詐欺師と詐欺師討伐隊とのメールでのやり取りの例はこちら。やり取りが進むにつれて滑稽さが増していくが、詐欺師に「世界一無礼な投資アドバイザー」というあだ名が付けられている理由を知りたければ、最後まで目を通すといい。

私なりの疑問:「公共財」の供給に自発的に取り組む方々――公益のために尽くしている方々――に横槍を入れるつもりは毛頭ないと断っておくが、どうしても問わずにいられないことがある。詐欺師討伐隊の動機は何なのだろう? 彼らなりに面白いと思ってやってるだけなんだろうか? アフリカの恵まれない子供たちのためにワクチンを送り届けることにも、同じくらい乗り気になれるんだろうかね? ともあれ、両陣営が悪ふざけの応酬に追われているのを心のどこかで嬉しく思う自分がいることも確かだ。

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