タイラー・コーエン 「チアリーダー効果 ~あなたの魅力を高めるプロフィール写真とは?~」(2013年12月4日)

●Tyler Cowen, “The cheerleader effect”(Marginal Revolution, December 4, 2013)


Gareth Cookのtwitter経由で知ったのだが、シンディ・メイ(Cindi May)が、サイエンティフィック・アメリカン誌で、「チアリーダー効果」に関する最新の研究成果を紹介している

「プロフィール写真として、どの写真を選ぶべきか?」 Facebookやtwitterのようなソーシャルメディアサイトをたまに利用しているか、あるいは、eHarmonyやMatch.comのようなオンライン出会い系サイトを熱心に利用しているかにかかわらず、ネット上で自分のプロフィールを作成したことがある人なら、おそらく誰しもが突き当たったことのある問題だろう。プロフィール写真には、自分の顔写真や自撮り写真を使うという場合が多いだろうが、娘や息子、はたまた、配偶者(夫や妻)の写真を使ったり、自分の好きな言葉やシンボルを引用したりという場合もあるだろう。他人から魅力的に思われたいというのであれば(正直なところ、そう思わない人がいるだろうか?)、友人たちと一緒に撮った集合写真を使うのが最善の策。そう示唆しているのが、カリフォルニア大学サンディエゴ校で心理学を研究するドリュー・ウォーカー(Drew Walker)とエドワード・ブル(Edward Vul)の二人がつい最新明らかにした研究成果である。

友人と一緒に写った写真は、あなたが愛想のいい人物で、周囲から好かれているという事実を伝えることになるが、不思議なことに、友人と撮った集合写真があなたの魅力を高める理由は、それとは関係ない。ウォーカー&ブルの研究によると、あなたが一人で写っている場合よりも、友人と一緒に集団で写っている場合の方が、あなたの顔が魅力的に見えるようになるというのだ。視覚(知覚)への働きかけを通じて発動する「チアリーダー効果」。そのように呼ばれている現象だ。

「チアリーダー効果」が生じる原因は?

ウォーカー&ブルが立てた仮説によると、「チアリーダー効果」は、以下の三通りの相異なる視覚認知的なプロセス(visuo-cognitive processes)の相互作用を通じて生じることになるのではないかとのことだ。まず第一に、点の並びだとか、顔の集まりだとかといった、物体の集合を目にする時、我々の視覚システムは、その集合全体に関する一般的な情報――例えば、その集合(集団)に含まれる要素(一人ひとりのメンバー)のサイズの平均(pdf)、位置の平均一人ひとりの顔に表れている感情の平均、といった情報――を自動的に構成することが知られている。集合には数多くの個別の要素が含まれているにしても、我々の注目は、個別の要素を超えて、集合に備わる特性に自然と向き、集合全体に関する認識に基づいて何がしかの印象が形作られる傾向にあるのだ。

第二に、我々が集合全体から受ける印象は、その集合に含まれる個別の要素をどう認識するかにも影響を及ぼすことになる。我々は、個別の要素をそれ自体として認識するのではなく、(その個別の要素を含む)集合と似た性質を持ったものとして認識する傾向にある。群衆の中に紛れた一つひとつの顔を認識する際、我々は、個別の顔を、群衆全体の顔の平均と似た特徴を備えたものとして認識する傾向にあるのだ。

そして第三に、我々は、平均顔(平均的な顔)に大きな魅力を感じることが知られている。複数の顔を平均して合成された顔は、その素材として使われた個別の顔よりもずっと魅力的な顔として評価される傾向にある。ウォーカー&ブルも指摘しているように、一人の人物を集団の中に紛れ込ませることで、その人物の顔が集団の平均顔と似たものとして認識されれば、その顔の魅力は高まる(一層魅力的に見える)可能性があるのだ。

ウォーカー&ブルが行った実験の一つによると、「チアリーダー効果」を生むには(集団の数が)4人もいれば十分だったそうだ。かような結果は、(四人組のバンド編成をとることが多い)ロックン・ロールに対しても何らかの意味合いを備えているだろうかね?

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