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タイラー・コーエン 「ミステリー小説の経済モデル ~スポーツは最大限のサスペンスを生み出せているか?~」(2015年2月13日)

●Tyler Cowen, “An economic model of the mystery novel, and are sports suspense-optimal?”(Marginal Revolution, February 13, 2015)


・・・という問題に立ち向かっているのがジャーナル・オブ・ポリティカル・エコノミー(JPE)誌に掲載されたばかりの「サスペンスとサプライズ」と題された共著論文だ。著者はジェフリー・エリー(Jeffrey Ely)&アレクサンダー・フランケル(Alexander Frankel)&エミル・カメニツァ(Emir Kamenica)の三名。そのものズバリの箇所を引用しておこう。

モデルから導かれる以上の展開をミステリー小説(推理小説)に当てはめるとどうなるかというと、次のようなお馴染みの筋立てが示唆されることになる。殺人犯は一体誰なのか? これまでに出てきた証拠に照らす限りだと、おそらく主人公が犯人に違いない(あるいは、主人公は無実に違いない)。そのように見当を付ける読者。しかしながら、ページを読み進めていくとどこかで予想を覆すような「どんでん返し」1に出くわす可能性が常に秘められている。残りのページが少なくなるにつれて「どんでん返し」が起こる可能性自体は小さくなっていくものの、万一「どんでん返し」が起きようものならその急転ぶりたるや凄まじいばかり(一回ごとの「どんでん返し」の落差は大きくなっていく)。 

それではスポーツに当てはめるとどうなるだろうか? スポーツの既存のルールはその大半が最大限の(観客を最大限満足させるに足るだけの)サスペンス2を生み出せていない。我々のモデルからはそのような結論が示唆されることになる。サッカーを例にとると、試合の途中でリードしているチームがそのまま勝利する確率は試合終了までどのくらい時間が残っているかだけではなく、相手チームとの点差がどのくらい開いているか(僅差か大差か)にも左右されることになる。・・・(略)・・・

例えばルールを次のように見直せばサッカーのサスペンス要素を高めることも可能だ。まず第一に、一番最後(一番遅い時間帯)にゴールを決めたチームを勝者とする。第二に、試合時間が進むにつれてゴールを決めにくくする(例えば、試合時間が進むにつれてゴールの枠を狭めていく)。第一のルール変更は試合時間全体を通じて観客のハラハラの振れ幅を一定の範囲に保つ助けになるし、第二のルール変更は試合時間の経過とともに「どんでん返し」が起こる(試合の途中で逆転が起きる)確率を小さくする助けとなる。

論文の草稿やら概要やらはこちらを参照されたい。注目すべきは論文の結末で・・・、おっと、結末は各自で確認していただくのがいいだろう。

  1. 訳注;「どんでん返し」=「主人公が犯人に違いない」と見当を付けてページを繰っていると主人公の無実を仄めかすような(あるいは主人公以外の登場人物が怪しいと匂わせるような)物証なりアリバイなりが突如として紹介される、という意味。 []
  2. 訳注;サスペンス=この先にどんな展開が待っているのだろう(結末は一体どうなるのだろう)とハラハラドキドキさせられる心理状態。 []

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