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フランシス・ウーリー 「ウォルト・ディズニー、戦争、税金」(2010年9月18日)

●Frances Woolley, “Walt Disney, War and Taxes”(Worthwhile Canadian Initiative, September 18, 2010)


1940年代にウォルト・ディズニーは、プロパガンダアニメの制作を通じて、アメリカの戦争遂行に助けの手を差し伸べている。『The Spirit of 43』(「43年の精神」;日本語吹き替え版はこちら)の中で、スクルージおじさん(スクルージ・マクダック)は、給料が入ったばかりのドナルド・ダックに対して、税金を納めるために貯金に励むよう諭している。曰く、「確かにそれは君のお金だ。でも、アメリカが戦っている戦争は、君の戦争でもあるんだ」。というのも、「みんなが払う税金のおかげで、民主主義が守られることになる」のだから。

The New Spirit』(「新しい精神」)も煽動的な内容だ。曰く、「君が払う税金。私が払う税金。みんなが払う税金。それが工場を動かす。みんなが払う税金のおかげで、アメリカ中にある工場を、朝から晩まで一日中稼動させることができるのだ。工場では、銃が作られる。機関銃が作られる。対戦車砲が作られる。長距離砲が作られる。海の向こうからやってくる侵略者を吹き飛ばすために、ありとあらゆる種類の銃が作られるのだ」。

税金を納めるのは、愛国者としての義務。・・・だったはずだが、一体全体どうしたというのだろうか? イラク戦争の最中だというのに、アメリカでは減税に踏み切られたのである。戦時中の減税は、アメリカの歴史上で初の出来事だ。

アメリカでの減税論議は、別のディズニー映画の筋書きをなぞっているのかもしれない。その映画とは、『ロビン・フッド』(日本語版のウィキペディアはこちら)だ。邪悪な(蛇の)サー・ヒスの催眠術にかかったリチャード王は、十字軍を指揮してはるばる中東まで遠征に向かう。兄であるリチャード王の不在中に代理で国を治めたプリンス・ジョンは、国民に重税を課す。そこに登場するのが、ロビン・フッドを筆頭とする無法者の一味。国民の声を代弁して、税負担を和らげるべく立ち上がったのだ。

だがしかし、人生は、ディズニー映画のようにはいかない。歳出の削減を伴わない減税は、長い目で見ると、苦難を招かざるを得ない。しかし、歳出の削減は、誰かしらを不幸にせざるを得ない。私の目には無駄でしかないように見える補助金であっても、その補助金はアメリカ流の生活を維持するために必要不可欠な出費だ、という意見の持ち主もいることだろう。

「Worthwhile Canadian Initiative」という名の(カナダを拠点とする)ブログで、アメリカの地で起こっている出来事(減税)についてあれこれ気を揉む必要なんてあるのだろうか? ピエール・トルドー(Pierre Trudeau)〔首相を2度務めたことのあるカナダの政治家〕がかつて言っていたではないか。「あなた方の隣国であるというのは、象の傍らで眠るのといくらか似ているところがあります。獣――と呼ばせていただくのをお許し願いたいですが――の傍らにいると、その獣がいかに友好的で落ち着き払っていたとしても、その一挙一動(体のぴくつきやいびき)から影響を受けざるを得ないのです」。


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