タイラー・コーエン 「車の運転が荒いかどうかを見分ける術」(2008年6月16日)

●Tyler Cowen, “Who are the aggressive drivers?”(Marginal Revolution, June 16, 2008)


バンパー・ステッカーが貼り付けてある車に警戒せよ。

コロラド州立大学に籍を置く社会心理学者のウィリアム・シュレンコ(William Szlemko)氏の最新の研究結果が告げる驚くべき結論を一言でまとめると、そうなる。

バンパー・ステッカーやウィンドウ・ステッカーが貼り付けられていたり、ナンバープレートがカスタマイズされて(自分好みに手を加えられて)いたりする――すなわち、この車は自分の「縄張り」だと主張する印が掲げてある――車の運転手は、他の車が目の前に割り込んできたり、信号が赤から青に変わっても前の車がすぐにスタートしないようだと、すぐにカッとなるだけではなく、その怒りを車を使って表現しようとする――クラクションを鳴らしたり、幅寄せしたりする――傾向にあるという。

さらには、その傾向は、ステッカーに書かれているメッセージの内容が平和的で愛にあふれたものであろうと――「世界平和を夢見て」(”Visualize World Peace”)、「うちの子はお利口さんなんです」(”My Kid Is an Honor Student”)――、怒気を含んでいてケンカ腰なものであろうと―――「テキサスに手を出すな」(”Don’t Mess With Texas”)、「うちの子がおたくのお利口さんをギャフンと言わせてやるからな」(”My Kid Beat Up Your Honor Student”)――、変わらないという。

・・・(略)・・・シュレンコ氏が同僚と一緒にまとめた論文は、学術誌であるJournal of Applied Social Psychologyに掲載されたばかり。その論文によると、車を自分好みにカスタマイズしていない運転手も(他の車が目の前に割り込んできたり、信号が赤から青に変わっても前の車がすぐにスタートしないと)カッとはなるが、その怒りを車を使って表現しようとはしないという。他の車に割り込まれてカッとなっても、割り込んできた相手のことを心の中で「このトンチキが!」と罵(ののし)って終わりにする傾向にあるというのだ。

「貼り付けてあるバンパー・ステッカーだとかの数が多い車の運転手ほど、腹が立った時に荒い運転をしがちです。車にバンパー・ステッカー(をはじめとした、この車は自分の『縄張り』だと主張する印)が貼り付けてあるかどうかというのは、その車の運転手の運転が荒いかどうかを見分けるサインになるのです」とシュレンコ氏は語る。

全文はこちらだが、いくらか興味深い仮説 [1] … Continue readingが述べられている。それによると、バンパー・ステッカーが貼り付けられた車の持ち主というのは、特異な「縄張り意識」――場合によって、攻撃的になり得る「縄張り意識」――をお持ちなようだ。

References

References
1 訳注;車にバンパー・ステッカーだとかを貼り付けてカスタマイズしている運転手は、自分の車だけではなく、走行中の公道も自分の「縄張り」(プライベート空間)であるかのように錯覚し――公道が公共空間であるということを忘却してしまい――、他の車が前に割り込んでくると「縄張り」を犯されたと感じてしまうのではないか、との仮説。
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