ピーター・ターチン「我にエアコンを、汝には与えず:ヨーロッパは未だ封建社会である」(2026年7月1日)

表向きは民主主義社会だが、EUを統治しているのは、神聖ローマ帝国を支配したエリート層と大差ない少数のエリートである。

私の住んでいる地域では、天気予報によれば木曜日に摂氏38度(華氏100度超)になると予測されている。停電が起きないことを心から願っている。この気温(そしてアメリカ東海岸特有の高い湿度)では、エアコンなしで生き延びるのは困難だからだ。興味深いことに、私のPCの冷却システムが停止する温度は、私の脳の冷却システムが停止する温度とほぼ同じだ。

むろん、事態がはるかに深刻なのは、ほとんどの建物にエアコンがないヨーロッパのほうだ。私たちが夏のヨーロッパを避ける理由の一つがこれである。私はこれまでも、ヨーロッパの指導者たちの妄想的な性質について言及してきた(たとえばここ)。この指導者の性質こそが、「ヨーロッパにおけるアサビーヤ(集団的連帯)がブラックホール化している」直接的要因の一つとなっている。現在の熱波ではすでに何千人もの死者が出ており、これはヨーロッパのシステムに対する直近の「ショック」であり、ヨーロッパ(ここで私が言う“ヨーロッパ”とは主に欧州連合(EU)のことだ)がいかに機能不全に陥っているかを露呈している。

この点を示す実例として、欧州委員会本部が入る建物をめぐる最近のスキャンダルを挙げよう。

写真:欧州委員会が置かれているブリュッセルのベルレモン・ビル

以下、ポリティコ紙の報道だ。

欧州委員会本部は金曜日、熱波のため空調システムの停止を余儀なくされた。

ベルレモン・ビルで働く職員たちは正午にテキストメッセージを受け取った。そこにはこう書かれていた。
「ベルレモン・ビル関係者への緊急連絡:異常気象のため、本日終業まで1階から7階の空調冷却システムを強制停止します」

13階建てのビルには、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長、26人の欧州委員、そして約3,000人の職員が入っている。フォン・デア・ライエンの執務室は13階にあり、欧州委員の執務室の大半は8階以上に置かれている。

ベルギーを含むヨーロッパの大部分は、この一週間、記録的な高温による酷暑に見舞われている。

欧州委員会は今週初め、職員向けの指針を発表した。その内容は、一日のうち最も暑い時間帯の外出を避けること、こまめに水分を摂ること、始業時刻を早めることなどが盛り込まれていた。

しかし、この勧告は、農業・農村開発総局(DG AGRI)のようなエアコンのない別棟で働く職員たちの怒りを買ったことが、本誌「ブリュッセル・プレイブック」が入手した内部文書から明らかになった。

「まるで封建制だ」。ベルレモン・ビルの低層階で働く委員会職員の一人は金曜日、本誌にそう語った(匿名を条件に)。欧州委員たちが入居する高層階ではエアコンが稼働し続けていたことを指しての発言だ。

まさにその通りだ。現代社会は技術的には中世の王国とはまったく異なるが、政治組織に関してはそれほど進歩していない。表向きは民主主義社会だが、EUを統治しているのは、神聖ローマ帝国を支配したエリート層と大差ない少数のエリートである。神聖ローマ帝国の皇帝が選挙で選ばれていたことを思い出してほしい。それでも中世の領主たちは農民をほとんど顧みなかった。同じように、今日のヨーロッパの政治エリートも庶民を軽蔑している。地位は特権へと転化する――13世紀と同じく、今日でもそうなのだ。

[Peter Turchin, “AC for Me, Not for Thee” Cliodynamica, Jul 01, 2026]

Total
0
Shares

コメントを残す

Related Posts