
今週末、FIFA男子ワールドカップ2026が閉幕する。開催地が2018年に発表されて以来、今大会は3カ国16都市にまたがり、48チームが参加し、5週間にわたって試合を行うという、他に類を見ない大会になるとされている。FIFA会長ジャンニ・インファンティーノのプライベートジェットも一因となり、大会の100年近い歴史の中で最も炭素排出量の多い大会になると予想されている。さらに、開催国チームが対戦相手を爆撃しているという史上初の大会でもある(インファンティーノがトランプ大統領にFIFA平和賞を初授与してからわずか2か月後、アメリカはイランに対する戦争を始めた)。今大会は、FIFAに記録的な収益をもたらすと予測されており、スポーツ観光の発展と、広告・スポンサーシップの歴史の両方において画期的瞬間となるだろう。
しかし、ワールドカップという華やかな舞台の背後には、優勝トロフィーが掲げられた後も長く続く、より静かな物語がある。ワールドカップを開催するために、各国政府は単にスタジアムを建設し、ファンパークを設営するだけではない。政府はFIFAに、免税措置と商業独占権といった特別な法的・財政的枠組みを付与し、さらに警備・保安・交通への投資、そして時にはスポンサーの要望に応じた新しい法律を制定する。ワールドカップ開催国や都市は、不可逆的な変貌を遂げることになる。開催の恩恵はFIFAとその企業パートナーに流れ込む一方、コストと法規制は開催地に残されるである。
今大会では、FIFAと開催国とのかつてない水準の一体化が見られた。これまで、どの開催国政府も、国家元首のオフィスからワールドカップの運営を行ったことはなかった。2025年3月7日、ドナルド・トランプは、ホワイトハウスでFIFA会長インファンティーノを伴って、「FIFAワールドカップ2026に関するホワイトハウス・タスクフォース」を設立する大統領令に署名した。このタスクフォースはトランプが議長を務め、副大統領JD・ヴァンスが副議長を務めるものだ。一方FIFAは、従来まで大会を組織・運営するために現地の団体を設立するやり方――現地大会組織委員会モデルを廃止した。その代わりにFIFAは、自らの子会社を通じて2026年大会を運営し、開催都市と直接交渉し、ホワイトハウス・タスクフォースと緊密に連携している。この取り決めの下では、FIFAがメディア対応、スポンサー、チケット収益を管理する一方、開催都市はファンの安全・警備のコストを負担する。大会の運営は、FIFAがトランプタワー内の高層階に新設したオフィススペースから行われており、FIFAはトランプタワーに「市場相場での賃料」を支払っていると説明している。FIFAは長らく、サッカーの世界的な観客を、国際的な独占ブランド企業のための「独占利潤(レント)」に変換する装置であり続けてきたが、このプロセスを可能な限り円滑に進めるために、国家との新たな緊密な関係構築を模索している。
ダスラー方式
ワールドカップは、FIFAの運営ロジックに従って発展してきた商業的な巨大イベント(ジャガーノート)である――世界中を巡回し、企業パートナーの収益を最大化し、それによって自らの存続と継続的な成長を確保するというものだ。FIFAという組織の原動力は広告にある。誰よりも先に、フットボールにおける真の利益は選手にスパイクを売ることにあるのではなく、選手を統括する連盟を支配することにあると見抜いたのは、アディダスの創業者一族でスポーツ・スポンサーシップの父として知られるホルスト・ダスラーだった。このイノベーションはワールドカップの将来にとって極めて重大だった。
好機が訪れたのは1974年、大会の外交的・商業的な拡大を公約に掲げたブラジル人のジョアン・アヴェランジェを次期会長に選出したときだった。アヴェランジェは、野心的な24カ国参加のワールドカップ(それ以前は、数少ない例外を除いて16カ国参加だった)と、アフリカとアジアのサッカー連盟への新たな育成資金の拠出を約束することで、長年在任していたイギリス人の現職会長を退陣させた。FIFAはこの約束を実現するだけの資金がなかったため、アヴェランジェはホルスト・ダスラーとその人脈を頼り、アディダスとコカ・コーラをFIFAが主催する大会の主要スポンサーとして招き入れた。
その結果生まれた新しい仕組みは、単なる広告収益の手段にとどまらず、広告独占を確固たるものにするための新たな商業パートナーシップ構造となった。4年後の1978年、アルゼンチン大会で、FIFAは広告権をパッケージ化し、スポーツウェアやアルコール飲料といった特定の製品カテゴリーを独占権としてブランド企業に販売する方式を初めて導入した。マーケティング戦術として、このパッケージ化された権利は、従来の広告キャンペーンの訴求効果をはるかに超えるものであり、しかも競合他社を完全に排除するものだった。このモデルの確立によって、ペプシは1978年以降ワールドカップで広告を出しておらず、アディダスが約50年にわたり全大会の公式試合球をデザインし続けてきた。
一世代後、放映権も同じ軌跡をたどった。数十年もの間、FIFAはワールドカップのテレビ放映権を、公共放送局の連合体(コンソーシアム)である欧州放送連合(EBU)に、大会を公共財として扱うような価格で売ってきた。1990年代に開催された三度の大会で、FIFAは世界全体のテレビ放映権収入を合わせて約3億1000万ドル稼いだ。ところが1996年7月5日、FIFAの執行委員会はEBUを迂回し、2002年大会と2006年大会を単一のパッケージとして売却することを決議した。欧州地域の放映権はドイツのメディアグループであるキルヒに、全世界の放映権はISLに渡り、決勝戦、準決勝戦、各国代表チームの試合のみ無料放送のままにするという条件だけが付けられた。この契約は28億スイスフランと評価され、これはEBUが1998年フランス大会で支払った額のおよそ10倍、つまり約1000%増加である。
このモデルは、FIFAに膨大な利益をもたらした。〔企業にとって〕地球上で最大で継続的な視聴者層をターゲットとする独占的なスポンサーシップの地位を得ることは、垂涎の地位であり、通常の広告キャンペーンでは到底実現できない価格であっても見合ったものとなる。この地位が企業にとってどれほどの価値を持つかは、そうした取り決めが脅かされたときにこそ明らかになる。たとえば2006年、FIFAは決済カード分野での広告権をビザに8年間で1億8000万ドルで売ったが、これは1990年からスポンサーだったマスターカードが契約上の優先交渉権を有していたにもかかわらず行われた。マスターカードはニューヨークの連邦裁判所に提訴し、スポンサー権を認める差し止めの仮処分命令を勝ち取った。最終的に2007年に和解が結ばれ、FIFAはマスターカードに4500万ポンドの和解金を支払い、ビザが広告枠を保持できるようになった。2030年大会と2034年大会の放映権入札は、10億ドルから始まる可能性があると報じられている。
この「ダスラー方式」は、導入以降あらゆるスポンサーシップ契約に適用されてきた。このシステムは、FIFAのマーケティング部門と化していたダスラーのマーケティング代理店ISLが、オフショア口座を通じてスポーツ関係者に賄賂を支払っていたことが発覚し、2001年に破綻した際、一時的に揺らぎを見せた。2012年には、アヴェランジェがISLからマーケティング権をめぐって数百万ドルのリベートを受け取っていたことが発覚した。しかし、アヴェランジェの腐敗を可能にしたこの商業的構造は持ちこたえ、FIFAはフットボールのグローバルなインフラに対する支配を確保する手段として、〔スポンサーシップ契約した〕企業への超過利潤(レント)を生み出すモデルを確固たるものとした。FIFAは、広告収益の一部を後援金として再分配しており、現在では211もの各地域サッカー協会が、自地域のフットボールを発展させるために、「FIFAフォワード」プログラムを通じて150万ドルを受け取っている。
広告収益は雪だるま式に増加してきた。スポーツ・スポンサーシップは今や700億ドルを超えるグローバル産業であり、この産業の中心的プレーヤーであるFIFAは、カタール2022大会サイクルで57億ドルを稼ぎ、2026年大会ではその2倍以上、推定130億ドルの記録的な収益を見込んでいる。2024年、FIFAは「メジャー・ワールドワイド・パートナー」という全く新しいスポンサーシップのカテゴリーを創設し、その最初の枠は世界最大の石油会社サウジアラムコに与えられた。この契約は年間約1億ドルで、4年間続くと報じられている。FIFAによれば、2026年大会に向けて刷新された商業プログラムは、過去のいかなる単独のスポーツイベントよりも多くの広告・スポンサー収益を生み出したという――しかも、それは、まだ試合が始まる前の段階でのことだ。
2026年大会では、新たな広告機会が数多く生まれた。中でも最も物議を醸しているのは、水分補給休憩(ハイドレーションブレイク)中の広告である――これは一部のスタジアムでの高温多湿を理由に、全試合で導入された義務的な休憩だ。「アメリカ人は広告を挿入するために、試合を2ハーフではなく4ハーフに分けたがるだろう」と、ディエゴ・マラドーナは2018年に予言した。「見ていろ、その通りになるさ」と。ハイドレーションブレイクは実際に選手を冷やすには短すぎ、しかもFIFAは高温多湿が選手に危険な水準に達した際の不十分な暑さ対策指針すら実施できなかったが、この休憩は広告主たちに豊富な機会を提供した。フォックス社に2億5000万ドルの収益をもたらすと予測されている。
また、オンラインストリーミングが従来のテレビ放送に取って代わるにつれ、新たなマーケティング機会も生まれている。業界紙は、各社がストリーミングサービスで視聴者向けにカスタマイズされた広告を試みる中、「広告技術(アドテック)」への支出が急増していると報じた。ブラジルでは、FIFAはプライベート・エクイティが出資するメディア企業「ライブモード・セルヴィソス・デジタイス」を雇い、ブラジル国内での放映権の売却交渉を行わせた。ライブモードは、YouTubeとも提携し、自社が所有する「カゼーTV」に、放映権を売却した。ブラジルの老舗メディアコングロマリットである「グローボ」が大会の放送権を独占できなかったのは、記憶にある限り初めてのことだった。スポーツ賭博の台頭は、カゼーTVの追い風となり、ブラジルでの大会中継での宣伝素材には、賭博の広告も盛り込まれている。
ホームアドバンテージ
これらすべてを支える資産――すなわち観客の注目――は価値をますます高めている。フットボールの影響力範囲は、歴史家デイヴィッド・ゴールドブラットが組織宗教に例えたように、日常生活に浸透し、それを形作るほどの存在にまで拡大している。地球上の人類のおよそ51パーセントが自らをフットボールファンだと自認している。2022年カタールで行われた前回大会の決勝、フランス対アルゼンチンは、推定14億2000万人が視聴した。2026年大会の決勝戦は、2022年カタール大会の決勝戦を大幅に上回ると想定されている。FIFAとワールドカップが生み出す莫大な広告収入こそが、大会の開催権を国家レベルで争うだけの価値あるものとしている。
1930年のウルグアイでの第1回大会以来、ワールドカップを開催した国はわずか19か国にとどまる――多くの国が開催を望んでいると公言しているにもかかわらずだ。経済的理由だけではこうした開催希望を説明できない。1966年以降の直近14大会のうち12大会が開催国に財政的損失をもたらし、直近3大会の平均投資収益率はマイナス31%であった。商業的大成功として記憶される1994年アメリカ大会でさえ、当初の収益予測から55~93億ドル下回っている。こうした損失が記録されているにもかかわらず、1970年代のアヴェランジェによる成長戦略以来、招致合戦はますます激化しており、これは開催希望国が金銭的な見返りを超えて目的を追求していることを示唆している。
最初のワールドカップからの半世紀、開催は褒賞というよりも割り当てられた義務に近いものだった。コロンビアは1974年にライバルの立候補なしで1986年大会の開催権を獲得したが、1982年に、アヴェランジェが大会の出場国を24カ国に拡大したことで開催条件の変化に直面し、ベリサリオ・ベタンクール大統領は国営テレビで「FIFAとその加盟国の贅沢な要求につきあっている暇はない」と宣言し、ワールドカップの開催権を返上した最初で唯一の国となった。そこから30年足らずのうちに、状況は完全に逆転した。2010年12月にFIFA執行委員会が2018年大会と2022年大会の開催権を同時に決定するために会合を開いた際には、かつてベタンクールが拒否したような譲歩をする権利そのものが、金を払ってでも手に入れたい価値あるものとなっていた。米国司法省の2020年起訴状によれば、FIFA委員会のメンバーは投票の見返りに国家から賄賂を受け取っていた。
2010年の南アフリカ、2014年のブラジルにとって、開催権の獲得成功は、自国の「近代性」と「信用力」を誇示する一大デモンストレーションだった。だが開催の見返りを享受したのは、政府というより、その政府の後ろに控える取り巻きの利権ネットワーク――契約を勝ち取った建設会社や都市開発連合であり、一方で「白い象(無用の長物)」と化したスタジアムは、公共予算を蝕み続ける負の遺産として残された。2018年のロシア、2022年のカタールにとっては、ワールドカップの開催は、地政学と化石燃料の貿易が揺れ動くなかで、自国の国際的な存在感を高めるための試みだった。カタールは2022年大会に先立ち、推定2,200億ドルを投じたが、これは自国の評判・国際的イメージへの投資と捉えていた。
戦術的譲歩
ワールドカップの開催国に選ばれた後、FIFAと開催国は、一連の法的拘束力を持つ義務を定めた開催都市協定(HCA)を締結する。HCAは、単に試合日程を調整するといった実務的な作業をはるかに超えるものであり、企業・マーケティングに関する新たな法整備、税制上の優遇措置、大会の運営仕様に合わせた地元警察の体制配備、そしてFIFAが国際仲裁を回避することを認める、といった条項を含んでいることが多い。FIFAは大会が生み出す商業収入の大半を手にする一方で、スタジアム、警備、準備にかかる全費用を開催国側に負担させている。
スイスの法律の下、非営利団体として組織されているFIFAは、ワールドカップから得る収益に対して税を一切支払っていない。その子会社は現地で課税されるため、開催国の選定は、ある程度まで、各国政府がどこまで免税に応じる用意があるかにかかっている。2012年にジルマ・ルセフ大統領が署名したブラジルの「ワールドカップ総合法(Lei Geral da Copa)」は、FIFAとその商業パートナーに対し、包括的な税の優遇措置、スタジアム周辺の商業的独占権、FIFAとその企業パートナーのための法的保護を認め、観客の暴力による死者を抑制するために2003年に導入されたスタジアムでのアルコール販売禁止を撤廃した。このアルコール禁止措置が撤廃されたのは、FIFAの長年のスポンサーであるバドワイザーがそれを要求したためである。当時のFIFA事務総長ジェローム・ヴァルケは、率直に次のように述べている。「アルコール飲料はFIFAワールドカップの一部だ。したがって提供されることになる。少し傲慢に聞こえるかもしれないが、これは我々が交渉の余地を認めない事項だ」。
大会が開催されるごとに、同様の要求が繰り返されている。ロシアは2018年大会に向けて特別な税制措置を立法化し、それによる法人税・事業所得税免除の損失は推定8,000万ドルに上った。カタールの2022年大会の免税措置は、関与するすべての事業体に対する法人税・事業所得税、物品税、関税を対象としていた。メキシコは、2018年にFIFAに完全な法人税・事業所得税免除を認めた後、2020年にこうした免除を禁じる憲法改正を行ったが、結局2026年の歳入法でFIFAに包括的な免除を改めて与えた。ワールドカップ開催がもたらす爪痕は、財政面にとどまらない。開催国が構築する治安維持体制は、大会が終わった後も存続することが多い。その一例がブラジルである。ブラジルでは大規模スポーツイベントのために初の常設の反テロ対策法が制定された。この法案は原案段階では、社会運動や労働組合を保護する条項が含まれていたが、上院の審議で保護条項は削除され、ボルソナロ政権になっても存続した。ボルソナロの支持者たちは、この法律の適用範囲を「土地なし労働者運動」のような社会運動にまで拡大しようと繰り返し行動した。
トランプのための大会
2026年のワールドカップが北米で開催されると発表されると、FIFAは主要開催国であるアメリカに対して、複数年にわたるロビー活動を開始した。インファンティーノ会長は、トランプの再選以来、幾度となくホワイトハウスに足を運び、トランプがノーベル平和賞を逃したことを受け、FIFAは「平和賞」を新設し、トランプに授与した。インファンティーノがトランプのためにノーベル委員会にロビー活動を行ったにもかかわらず、ノーベル平和賞はマリア・コリナ・マチャドに授与された。
トランプとインファンティーノの友情は双方向のものだ。インファンティーノは2025年1月、トランプの邸宅マー・ア・ラーゴに初めて迎え入れられ、その数日後には大統領就任式にも出席した。さらに奇妙なことに、インファンティーノはトランプの中東政治訪問に同行し、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された「平和のためのサミット」に出席している。そこでインファンティーノは、「サッカーは子どもたちに希望をもたらす、それはとても、とても重要なことだ」と述べながら、FIFAがパレスチナに「サッカーを取り戻す手助けをする」と約束したと報じられている。(このワールドカップの開催期間中、イスラエルによる空爆により、パレスチナ人援助活動員モハメド・アル=ワヒディが死亡した。彼は、2023年10月以降アメリカが支援するジェノサイド――2万人の子どもを殺し、さらに4万4,000人を負傷させている――下で、ワールドカップを公開上映する活動を企画したことで知られていた。)
2026年大会に先立ち、FIFAの招致要件では、チケット収入に対する法人税・事業所得税、関税、売上税の全額免除が求められた。ミズーリ州、ジョージア州、フロリダ州はそれぞれ、ワールドカップのチケット販売を州税および地方税から免除する法律を可決した。これは、FIFAが開催都市選定の条件として課していた条件であった。その損失を吸収するのは一般市民である。税制・経済政策研究所の試算によれば、ジョージア州は最大2,500万ドルの税収を失うことになり、フロリダ州はマイアミでの試合分だけで約740万ドル、ミズーリ州はカンザスシティで行われる6試合それぞれについて約190万ドルの損失を被るとされる。こうした理由から、アメリカ第3の都市であるシカゴ市の当局者たちは、ワールドカップを開催すれば市が負債を抱えることになると結論付け、試合の開催を拒否した。
今回のワールドカップでFIFAは、需要に応じて価格がリアルタイムで変動する、航空業界と同じ「ダイナミック・プライシング」を導入した。最も高額なチケット(決勝戦)は、当初6,730ドルで販売されていたが、春の販売時には10,990ドルにまで高騰した。FIFA自身が運営するリセール(転売)プラットフォームでは、買い手・売り手の双方から15パーセントの手数料をFIFAが徴収する仕組みだが、チケット価格は6桁、さらには7桁にまで達した。カタール大会では、チケットの最高価格はおよそ1,600ドルだった。インファンティーノは、この価格設定を、アメリカのエンターテインメント経済における単なる「市場価格」だと擁護したが、トランプ自身でさえ、アメリカの開幕戦の一部座席に付けられた4桁の金額は払わないと語った。FIFAが「サッカーは世界をひとつにする」というスローガンで宣伝した今大会は、あるヨーロッパのサポーター団体によれば、ファンに対する「途方もない裏切り」を犯したとして非難された。
このやり方は今や、国家機関の介入を招いている。2026年5月、ニューヨーク州とニュージャージー州の司法長官であるレティーシャ・ジェームズとジェニファー・ダヴェンポートは、FIFAに召喚状を送付し、「これまでのどのワールドカップの価格をもはるかに超えている」と指摘したチケット販売のやり方について、共同調査を開始した。先週、大会の準々決勝中、ブラジル政府の財務省と法務省は、スポーツ賭博に関する解説者やテレビ局による助言を制限する新たな規則を発表した(この賭博業界は、ブラジルの放送事業者から広告枠の大半を購入していた)。
トランプは、この大会が自分にとって政治的にどれほどの価値を持つかについて、率直に語ってきた。2026年ワールドカップは、彼が共同開催国である2カ国を相手に貿易戦争を仕掛けている最中に開催される。この緊張関係について問われた際、彼は大統領執務室で記者団に対し、「緊張関係は良いことだ。そのほうがずっと面白くなる」と語った。「団結」を掲げて世界に向けて売り込まれた今大会は、最も強力な開催国にとっては、他のどんな手段と同じように、交渉材料なのである。
長期的な戦略
今大会の「メジャー・ワールド・パートナー」であるアラムコは、それを所有する国家と切り離すことはできない――そしてこの国家は、FIFAの将来において重要な役割を担うことになる。2024年後半、アラムコがFIFA最大のスポンサーとなって間もなく、FIFAは、同じくアメリカで開催される新たに拡大されたクラブ・ワールドカップの放送権を、うまく売却できずに苦戦していた。土壇場で、年間10億ドルを超える損失を計上し続けていた配信サービスのDAZNが、およそ10億ドルと報じられる契約で、グローバルな放送権を獲得した。その数週間後、サウジアラビアの政府系ファンドPIFが所有するSURJスポーツ・インベストメントが、報道によれば10億ドルで、DAZNの株式10パーセント未満を取得した。PIFは事実上、クラブ・ワールドカップというFIFAの実験を救ったDAZNという放送事業者を、資金援助したのである。
この直後、FIFAは唯一の立候補国としてサウジアラビアに2034年ワールドカップの開催権を与えた。この結果は、偶然の産物ではない。FIFAは2030年大会の開催を3つの大陸(ヨーロッパ、アフリカ、南米)での共同開催に割り振ったが、これによりFIFA自身の「大陸連盟持ち回りルール」により、2034年大会の資格を持つのはアジアとオセアニアのみとなった。しかも立候補の受付期間はわずか25日間しか設けなかったのである。サウジアラビアは、立候補受付期間開始の数分後に立候補を宣言し、オーストラリアは最終的に立候補を取り下げることになった。観測筋は、この状況を、統括団体であるFIFAが自らのルールを捻じ曲げて、サウジアラビアのために道を開いたものだと解釈している。
このFIFAの変化は、程度の変化ではなく、質そのものの変化である。ダスラーが築いた構造は、独占企業が自社製品を守るために、サッカーの観客を超過利潤(レント)として利用することを可能とするものだ。アラムコは、年間1億ドルを投じて、より大きなもの――化石燃料資本そのものの正統性――を守るためにこの仕組みを利用している。そしてその背後にある国家(サウジアラビア)は、さらに一歩先――広告を購入することから、FIFAの放送事業者の一つを資金面で支えることへ、そして大会そのものを主催することに踏み込んだのである。サウジアラビアは、スポンサーとなり、資金提供者となり、そして開催国となった。これはピッチ脇の広告看板ではなく、FIFAという組織そのものの内部に地位を得るということだ。この国家戦略の代償は、すでに書き記されつつある。2034年大会用のスタジアムは、そのほとんどがまだ存在していない。税制優遇措置、商業的独占権、警備体制も、まだ立法化されていない。だが、FIFAの要求と開催国の法律との間に、ほとんど摩擦が生じないであろうことは容易に想像がつく。半世紀前、あるコロンビアの大統領は、「国家がワールドカップに奉仕すべきではない」という理由で、開催権を返上した。2034年、とある国家はワールドカップを所有することになるのである。
[著者紹介:フレディ・デイリーは、サセックス大学に所属する政治経済学者。主な研究対象は化石燃料の段階的廃止、エネルギーシステムの政治経済学、気候変動政策]
[Freddie Daley, James Jackson, Pierre Wokuri,“Who Owns the World Cup?” Phenomenal World, July 15, 2026]
〔This article was originally posted on Phenomenal World, a publication of political economy and social analysis. All rights, including copyright, belong to Phenomenal World.
本記事は、政治経済と社会分析の専門誌『Phenomenal World』誌に掲載されたものであり、翻訳許可を受けて公開している。著作権等の権利はすべてPhenomenal Worldに帰属している。〕