ノア・スミス「自由市場経済は驚くほどうまくいってる」(2025年7月10日)

「自由市場経済学(あるいは「ネオリベラリズム」)は失敗した」「経済システムには見直しが必要だ」という話だ.もちろん,左翼はずっと前からこう信じ続けている.

Photo by Gage Skidmore via Wikimedia Commons

どの経済アプローチがうまくいくかは,出発地点しだいで大きくちがってくる

この十年にアメリカで党派を超えて見解が一致していそうな分野といえば,「自由市場経済学(あるいは「ネオリベラリズム」)は失敗した」「経済システムには見直しが必要だ」という話だ.もちろん,左翼はずっと前からこう信じ続けている.近年は,ヒューレット財団の人たちなど,主流の進歩派からそっちに合流する人たちも増えている.一方,右翼はというと,トランプのおかげで関税と移民制限がかけられて,優勢な正統教義としての自由貿易は放り捨てられている.それに,共和党全体も,化石燃料産業その他の伝統的な部門に肩入れしたがっている様子だ.

念のためはっきりさせておくと,このぼくも,新しい経済システムを求める主張を続けてきた面々の一人だったりする.長らく,ぼくは自由市場イデオロギーを批判してきた.ラストベルトの衰退について憂慮したし,自由貿易について疑念を述べたりもしたり,製造業を復活させるために産業政策を提唱してきた.「かつての教条からの決別が必要で,バイデン政権の産業政策はまさしくそれをやっている」と何度も書いてきたし,自由貿易を支持する政治的な共通見解を打ち壊すことでトランプは必要とされていた転換を可能にした」とも書いた.「戦略的な産業に注意を払っていないと,アメリカと同盟国は対中戦争に負けるよ」としょっちゅう警告してる.「次の経済イデオロギーはどうあるべきか」についてヒューレット財団にぼくがなんらかの立場から助言を言わせてもらうことだっておおいにありうる.2018年にはおもしろオンライン投票で「ネオリベラルの売人の親玉」に選ばれたこともあるけれど,本物のネオリベラルだったこともなければ自由市場バンザイの手合いだったこともない.

というわけで,「自由市場の批判が行き過ぎてる」とぼくが言うときには,自分自身にそう語りかけてる部分もある.2ヶ月ほど前には,トランプの関税政策にゾッとしながら,リバタリアンたちにごめんなさいする文章を書いて,右派の経済に関する正気をたもつうえで彼らのプロジェクトが政治的に有用なのが見えてなかったと認めた.

ただ,売り込みが足りてないのは自由市場の政治的な便益だけじゃない.純粋に経済的な長所が見過ごされている場合もあまりに多すぎると思う.

その証拠物件1号は,アルゼンチンのミレイ大統領の実績だ.1年半前,ミレイがアルゼンチン大統領に選ばれたとき,左派系の経済学者たちの多くはこう暗い警告を発していた――ミレイの過激な自由市場プログラムによって経済はガタガタになるだろう.

急進右派の経済学者ハビエル・ミレイがアルゼンチンの大統領に選ばれた.これによって,アルゼンチンにさらなる経済的な「荒廃」と社会の混乱が引き起こされるだろう――そう警告するのが,100名以上の著名経済学者たちだ.(…)警告を告げる署名には,フランスのトマ・ピケティやインドのジャヤティ・ゴーシュ,セルビア系アメリカ人ブランコ・ミラノヴィッチ,コロンビアの元財務相ホセ・アントニオ・オカンポなど,影響力ある人々が名を連ねている.(…)

この公開書簡によれば,ミレイがやろうと言っている様々なことは,「伝統的な経済学の考え方から根本的に脱却」しているような口ぶりをしつつも,実際には「自由放任経済学に根ざして」いて,「アルゼンチン経済とアルゼンチンの人々にとって大いに害となりうるリスクに満ちている」のだという.(…)署名した経済学者たちはこう警告している――「政府支出を大幅に削減することで,すでに高水準にある貧困と格差はいっそう強まるだろう.また,これによって社会の緊張と紛争が顕著に増加するおそれがある.」

「ハビエル・ミレイはドル化と緊縮案を実施しようというが,現代経済の複雑さが見過ごされ,歴史上の様々な危機の教訓が無視されている.これは,すでに深刻な格差をいっそう大きくすることにつながる」――と,署名者たちは述べている.

ともあれ,ミレイが勝って大統領になった.彼の最初の目玉政策で,左派系経済学者たちがとりわけ心配したのが,厳しい財政緊縮だった.アルゼンチンが長く採用している経済モデルは1950年代に独裁者フアン・ペロンがつくったもので,公共雇用プロジェクトをはじめたり,エネルギーや交通機関などいろんな消費財・サービスへの助成金を出したりを,複雑かつ大規模に続けてきた.ミレイはこれらの多くを削減した.また,年金支給や公務員雇用や地方の州への助成金も削減した.全体として,ミレイによる公共支出削減は約 31% にのぼった.これにより,アルゼンチンの慢性的な財政赤字はほぼ完全に消え去った.

Source: CEIC Data

こうした削減の狙いは,たんに国家による経済への介入をやめることだけじゃなかった――インフレを止めるのも,その狙いだった.基本的に,マクロ経済理論によれば,財政赤字が十分に大きくて長く続くと,やがてみんながこう信じる――「政府はお金を刷ることで政府債務をインフレで吹き飛ばすぞ.」(これは自己成就的予言になる)[n.1].また,ハイパーインフレを経験した国々の全部ではないにせよ大半では,財政を健全化してようやく終息にたどり着ける.永続的な財政赤字は,アルゼンチンの「ペロン式」システムの一角をなしていた.おそらく,これまでアルゼンチンが周期的に経験してきたハイパーインフレに,これが一役買っていたとみてよさそうだ.

というわけで,ミレイによる緊縮ショック療法は,ミクロ経済とマクロ経済の両面で狙いがあった.これまでのところ,これはうまく機能している.ミレイが就任する前はインフレ率が危険なまでに急上昇していて,「ハイパー」がつく水準に舞い戻りそうな勢いだったけれど,いまは大きく下がっている.

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そうはいっても,いまのアルゼンチンのインフレ率は,アメリカ人なら激怒する水準ではある.月間 2.4% インフレ率は,年率だと 33% ほどだよ! それでも,アルゼンチン人にとっては素晴らしく安堵できる数字だ.

また,ミレイはいくつも規制緩和・民営化・反労組その他のリバタリアン政策を実施した.その大半は,大統領命令による.ミレイは,従業員の雇用・解雇を前よりかんたんにする一方で,労組がストライキを打つのは難しくし,国有産業の民営化に向けて施策を打っていった.金融・医療・旅客航空便の規制緩和を行った.また,家賃制限も撤廃した

最後に,ミレイは通貨政策にもいくつか変更を行った.アルゼンチンはもっぱら一次産品の輸出国だ.そして,他の多くの一次産品輸出国と同じく,アルゼンチンも長らく自国通貨(ペソ)の価値を過大評価なレートに保っていた [n.2].通貨をずっと過大評価させておくには,いくつも人々に制限を加える法律を維持する必要がある――アルゼンチン人も外国人投資家も,自分の手持ちのペソをアメリカドルに交換するのを禁じられていた(ペソがアメリカドルに交換されると,ペソの対ドル価値が下がる).そうした法律があるおかげで,アルゼンチン人たちは過剰に消費できた.でも,それは銀行の手足を縛り,外国からの投資を抑制することで実現していたわけだ.ミレイは,こうした規則の一部を撤廃したし,他のも撤廃していくと約束した.そして,ペソが 50% 以上も価値を落とすのを許容した.

左派系経済学者たちはこう考えた――「これでアルゼンチンの庶民は大打撃を受けるだろう.」 財政を緊縮すれば一時的な痛みが生じる――緊縮によって総需要は短期的に大きく落ち込み,貧困は増加し,失業率は上がる.社会プログラムや消費支援金を削減すれば,苦しむ人たちも出てくる.家賃制限を撤廃すれば,家賃は高くなっておかしくない.実際,ミレイが大統領に就任してから1年間は,貧困率は急上昇した.もともと 42% という高水準だったのが,さらに 53% へと激増した.失業率も上がった.2024年にアルゼンチンは景気後退に陥って,失業率は 7% を超えた.

そのあと,おかしな展開になった.景気後退がおわって,アルゼンチン経済は息を吹き返したんだ

昨年の景気後退から同国の経済が立ち直るなか,アルゼンチン経済は2022年いらい2期連続で前年同期から成長した.(…)国民総生産は第1四半期に 5.8% 拡大した(…).月曜に公表されたデータを見ると,消費者のレベルで回復の兆しが現れており,民間消費は1年前から 11.6% の伸びを見せている.

それに,貧困率も下がってきている

リバタリアンの大統領ハビエル・ミレイが大統領に就任して1年目で,アルゼンチンの貧困率は 38.1% にまで下がった.2024年後半,7月から12月にかけて 41.7% からこうして貧困率が低下したのは, ミレイの前任者たちだった左派ポピュリストが2023年後半に実現した 41.7% に比べて改善している.

貧困率低下が事実かどうかを左翼は疑って論議しているけれど,そこで持ち出されているのはデータではなくて個々の逸話ばかりだ.失業率はいまだに高いけれど,経済成長が続けばいずれ下がってくるはずだ―― JP モルガンの予測では,アルゼンチン経済は来年も加速を続けると見込まれている.

「それってつまり,自由市場経済大勝利ってこと?」 そう宣言したくなる誘惑はある.ただ,現実はそんなに単純じゃない.緊縮は根っこからして自由市場政策というわけではない.社会主義諸国だって,財政黒字で運営する場合はある.それに,世界でもとりわけ資本主義的な国々だって,財政赤字をやれる.タイラー・コーエンが指摘しているように,ミレイのマクロ政策は,リバタリアンというより正統 IMF 流の安定化政策に近く見える.アルゼンチンの国家規模を縮小して得られるミクロ経済的な恩恵は,もっと後になってかたちになって現れてくる.いまの時点では,その主な効果はインフレの抑制だけにとどまっている.

それに,次の点も指摘しておいた方がよさそうだ――ミレイ政権でとんでもないことになると恐れていた左翼の経済学者たちは,ミレイが実行しなかった計画についても懸念していた――アルゼンチンが国内取引にペソではなくアメリカドルを使う,という計画だ.これが実行されていたら,うまく機能しなかっただろう.アルゼンチンにあるドルがとにかく足りてない.さいわい,ミレイはこの計画を実行に移す政治資本をもちあわせていなかった.

ただ,これまでミレイが成功を収めているのを見て,ぼくらはいくぶん自由市場政策について自信を強めるべきだ――とくに,アメリカでこのところ出回っている新しい社会主義的なアイディアと引き比べて,自由市場政策を評価してみると,その昔,社会主義者や左寄りの経済思想家たちは,中央計画と産業国有化を推奨していた.近年だと,彼らは財政政策によって国家規模を拡大するようになっている.その正当化では,マクロ経済とミクロ経済が混ぜ合わされている.彼らはいつでも財政赤字による社会プログラム拡大を提唱している.財政タカ派が赤字を抑えたがると,緊縮にともなう短期的なマクロ経済の痛手を左派は警告する

財政赤字よりも緊縮の方をいつでも恐れていると,国家規模の拡大は――そして財政赤字の拡大は――後退のないラチェットになる.このアプローチはケインジアンとは大きくちがっている.ケインジアンは,景気後退を退けるための刺激策を提唱するけれど,好況になったら緊縮を行う.〔どんなときも財政赤字を拡大しようとする傾向は〕MMT によく似ているな,と読者は思うんじゃないかな.あの疑似理論の流行りはだいたい終わったけれど,この「マクロ左派」フレーバーが濃い尊敬すべき進歩派タイプは大勢いる.

ミレイが首尾よくアルゼンチンのインフレ率を下げつつ,同時に,1年間の痛みをこえて経済成長を復活させたのを見ると,マクロ左派がひっきりなしに発している緊縮についての暗い警告は,少なくともときどきは誇張されているんだとわかる.財政保守がいつでも望ましいわけじゃない.でも,多くの進歩派たちが思っているほどそのコストが大きくない場合もよくあるってことをミレイは示している.

その一方で,規制緩和・民営化への転換・反労組政策からなるミレイのミクロ経済政策が,ここでの「吠えなかった犬」になっている.貧困率が下がり,消費が増えてきているアルゼンチンでは,自由市場政策で中流階級が崩壊しているようには見えない.これまでのところ,格差が大幅に増えた様子もないし,ジニ係数は横ばいに見える

それに,ごく一部の事例では,ミレイの自由市場政策が実際に成果をあげているのが見てとれる.国による家賃統制の撤廃にともなって,住宅供給が大幅に増えて,家賃が上がるどころか下がっているようだ.『ニューズウィーク』から,いくらか数字も示されてる記事を引用しよう:

また,ミレイは2024年後半にアルゼンチンの家賃統制法を廃止した.これまでは,賃貸契約期間や家賃値上げに制限が加えられていたために,地主が住居の貸し出す意欲を削いでいた.ブエノスアイレスの不動産監視機関によれば,これが撤廃されてから数ヶ月で,同都市の賃貸住宅供給が 195% 上昇した.また,市場に多くの集合住宅が再び市場に戻ってきたことで,賃料の中央値は約 10% 低下した.

社会主義労働党 (PTS) や労働者左翼戦線をはじめとする左翼団体や社会主義団体のなかには,この撤廃は借り手を犠牲にして家主を優遇していると批判していた.ところが,これまでの現実はその逆になっている:供給は急増した.アルゼンチン屈指の大手不動産取引プラットフォームであるソナプロップでは,伝統的な賃貸物件の登録が改革前には約 5,500件ほどだったのが,15,300件を超えている―― 180% の増加だ.この増加の 1/3 は規制緩和から1ヶ月で起きている.

こうした政策すべての効果がすっかり出尽くしたかどうかは,まだまだわからない.ミレイのやったあらゆる規制緩和の結果として,もしかすると,やがて格差が拡大しはじめるかもしれない.あるいは,受け入れられないほど高い水準で貧困が定着するかもしれない.でも,いまのところ,多くのリバタリアンたちがのぞんでいた水準すらもずっと上回る状況になっているようだ.

それに,社会主義者や進歩派たちが近年指示しているラテンアメリカの国々とミレイを比べてみると,まるで比べものにならない.2000年代に,ジョー・スティグリッツはベネズエラのウゴ・チャベスを激賞していた

2006年に,ノーベル賞経済学者ジョセフ・スティグリッツがウゴ・チャベスの経済政策を称賛した.ベネズエラのチャベス大統領は,ラテンアメリカの「左翼政権」の一つを運営した.こうした政権は,不当にも「ポピュリストだと非難されている」と自著 Making Globalization Work で述べた(…).実際,チャベス政権は「貧困層に教育・医療の恩恵をもたらし,経済成長を高めるだけでなくその成長の果実がもっと広く分かち合われるようはからう経済政策を目指していた.」 2007年10月にカラカスで開かれたフォーラムで,スティグリッツは再びチャベスを称賛した.ベネズエラの経済成長は「とてもめざましい」と述べ,さらにこう続けた.「ウゴ・チャベス大統領は,カラカスの貧困地区に暮らす人々に医療と教育をもたらすのに成功を収めたようだ.」 その会議のあと,このノーベル賞経済学者はベネズエラ大統領と友好的な会談を行った.

その後,どんな顛末になったかはみんなが知ってるとおり.ベネズエラは,戦時をのぞいて記録にあるかぎりで指折りに破滅的な経済崩壊に苦しんだ.ところが,2022年に,ミレイ以前のアルゼンチン指導者たちを称賛した.パンデミック後に緊縮を求める声に抵抗したというのが,その理由だ.それから2年後,アルゼンチンの年率インフレ率は 1500% を記録した.

こうした派手な判断ミスが繰り返されたのに,責任は一度も問われていない.でも,ラテンアメリカで,左翼的なアプローチに比べてずっと破滅的でない成果をリバタリアン的なアプローチによる経済政策が挙げているのを見るにつけ,反ネオリベラリズムの方向にぼくらはダイヤルを回しすぎていたってことをここから読み取るべきだ.

実は,近年ネオリベラルによる成功例は,べつにミレイ一人にかぎられない.中国は名目上こそ共産主義だし,産業政策もたくさんやっているけれど,1980年代から2000年代前半にかけて中国がとっていたアプローチはほぼ全面的に民営化推進だった.インドは1990年代から2000年代にかけて自由化で経済成長を大きく高めた.ベトナムも同様だ.ポーランドの経済発展の奇跡は,大部分がネオリベラルによるものだ――ポーランドの産業政策は,大半が外国直接投資の推進に注力している一方で,他の政策は単純に制度改良と自由貿易の混合だ.

「じゃあ,強硬なリバタリアンたちが正しくて,世界中の国々は政府を縮小して市場の力を解放すべきってこと?」 いや,そうはならないよ.真実はもっと込み入っていて,微妙な濃淡がある.経済政策は,出発点がどうなってるかで大きく変えたときにいちばんうまくいくんだ.ミレイ以前のアルゼンチンではペロン方式でガタガタになっていた.鄧小平以前の中国は毛沢東の災厄に苦しんでいた.歴史上,政府を拡大させた事例の多くは,経済成長をダメにすることなく貧困を減らしてきた.ニューディールがそうだったし,1970年代に韓国が産業政策を推進したときもそうだった.

退屈な真実を語るなら,理想的な経済は混合経済なんだ.その基盤は市場に据えつつも,再分配・公共財の提供・産業政策も大いに含まれる.正確なところ,最適なバランスがどこにあるのかは,その国と時代によりけりだ.ズバリ最適なバランスを当てて,しばらくそれでやれたとしても,国々が発展したり技術が変化したり貿易パターンが変動したりしていくにつれて,最適な組み合わせは変わっていく.アルゼンチンがミレイの当初の成功を過大評価していたら,いつの日か,自由放任をやりすぎてしまってもおかしくない.

国々はイデオロギーを決め打ちしてそれに固執するんじゃなくて,どちらかの方向に偏りすぎてしまったらそれを認識して進路を変えるべきだ.大いに栄える人たちがいる一方で貧困に苦しむ人たちがいるときには,社会的なセーフティネットを整えるべきだ.規制を受けない産業から排出される汚染で息をするのもままらななくなっているときには,環境保護策をとるべきだ.産業を国有化してうまくいっていないなら,民営化すべきだ.テクノロジーの進歩に後れをとっているときには,産業政策を試してみるべきだ.非効率な補助金・給付金で経済の手足を縛っているなら,規制を緩和すべきだ.

試行錯誤の変化は,革命ほど華々しくはない.チェーンソーを振り回しながら「このイデオロギーで敵どもは歴史の墓場行きだぁ」とか叫んでれば,痛快ではある.でも,うまくいくのは試行錯誤による変化の方だ.


原註

[n.1] 経済学者のなかには,「インフレの長期的な決定要因として重要なのは財政政策しかない」と信じてる人たちもいる.これは,ほぼ間違いなく誇張だ.

[n.2] 一次産品輸出国がこれをやりがちなのは,国内製造業者たちが製品をより多く売りやすくするために通貨を安く維持する政治的インセンティブよりも,消費者たちが輸入財をもっと買えるようにする政治的インセンティブの方がまさっているからだ.この点で,アメリカのふるまいは輸出品製造国よりも一次産品輸出国に似ている.


[Noah Smith, “Free-market economics is working surprisingly well,” Noahpinion, July 10, 2025]
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