アレックス・タバロック 「マネーロンダリング対策の欺瞞」(2021年1月22日)

マネーロンダリング(資金洗浄)対策の真の標的は、非合法の犯罪組織ではなく、合法の組織?
画像の出典:https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=1277612

マネーロンダリング(資金洗浄)対策は、コストが嵩む(かさむ)わりに、効果に乏しいようだ。

大まかな推計になるのは致し方ないが、年間3兆ドルに及ぶと見込まれている不正資金のうち、当局が差し押さえるのに成功しているのは約30億ドル。成功率は0.1%だ。その一方で、マネーロンダリング関連の法令を遵守するために、銀行をはじめとした民間の合法な企業が負担している費用は、年間で3000億ドルを上回っている。当局が犯罪組織から差し押さえている額(30億ドル)の100倍以上だ。

・・・(略)・・・犯罪組織は、年間で30億ドルを差し押さえられている。その一方で、銀行をはじめとした民間の合法な企業は、法令を遵守するために年間で3000億ドルの費用を負担しているだけでなく、80億ドルの罰金を科されている。マネーロンダリング対策の真の標的は、非合法の犯罪組織ではなく、合法の組織なのではないかと疑いたくなるのも無理はない。

ロナルド・ポル(Ronald Pol)の「マネーロンダリング対策:世界で最も効果の薄い政策実験? 一致団結すれば、手直しの余地あり」(“Anti-money laundering:The world’s least effective policy experiment? Together, we can fix it.”)と題された論文より。

二点ほど付け加えておこう。マネーロンダリング対策は、暗号通貨のような分野――プライバシーの保護が何よりも重視されて、罰金を科したり書類の提出を求めることができる銀行のような対象が存在しない分野――でのイノベーションを阻害するおそれがある。それに加えて、「自由」を侵害してもいる。銀行に顧客を内偵させて、その調査結果を政府に報告するように求めているも同然だからだ。米国憲法を支える原理に反しているのだ。マネーロンダリング対策の柱となる法律が定められたのは、1990年代に入ってからに過ぎない。「手直し」ではなく、撤廃すべきなのだ(ポルは狡猾だなと思う。「手直し」と言いながら、真の解決策を提案していないのだから)。


〔原文:“The Anti-Money Laundering Fraud”(Marginal Revolution, January 22, 2021)〕

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