ブラッド・デロング 「ドラキュラ伯爵とアルマジロ」(2011年10月30日)

アルマジロは、ドラキュラ伯爵の地位の高さを象徴するステータス・シンボル・・・なのかもしれない。
画像の出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/23873981

私の質問:ドラキュラ伯爵の寝床の近くにアルマジロがいるのはどうして? どんな意味があるの?

DAMANOIDから寄せられた答えは、以下の通り。

アルマジロは、ドラキュラ伯爵の地位の高さを象徴するステータス・シンボルなんです。

伝承によると、吸血鬼は故郷の土と一緒に眠らねばなりません。しかし、悲しいかな、墓地の土というのは、(ミミズとかの)蠕虫(ぜんちゅう)とか(カメムシとかの)半翅目(はんしもく)の昆虫とかの無脊椎動物の巣窟です。ドラキュラ伯爵は「不死者(アンデッド)の王」かもしれませんが、目が覚めた時にカブトムシの幼虫が鼻のあたりに蠢(うごめ)いていたら、常人と同じように、いい気持ちはしないでしょう。

運よくと言いますか、墓地の土に寄りつく害虫は、アルマジロの好物です。アルマジロは嗅覚が鋭くて、地中深くに潜んでいる無脊椎動物も見つけ出すことができます。さらには、アルマジロはアリクイのミニチュア版の歯列の持ち主なので、アルマジロが地下室にいる蠕虫や蛆虫を掃除する時にドラキュラ伯爵が誤ってかじられてしまうおそれもありません。共生のまたとない例と言えるでしょう。ただし、どちらも「生」きていると言えるのであればですが。

過去においてアルマジロを新世界から東欧にまで運んでこれたのは、お金に余裕のある吸血鬼だけ――裕福な貴族の吸血鬼だけ――でした。残念ながら、農民の吸血鬼は、アルマジロを調達するためのお金を工面できなかったがゆえに、夜中に墓地で目が覚めると体中の穴という穴がミミズとかヤスデとかによって塞(ふさ)がれているのに耐えねばなりませんでした。恋愛小説で農民の吸血鬼が登場してこないのは、このあたりの事情も理由の一つになっているのでしょう。


〔原文:“Hoisted from Comments: The Armadillos of Castle Dracula”(Grasping Reality on TypePad, October 30, 2011)〕

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