休日の読書用にと手に取ったのがロバート・マクファーレン(Robert Macfarlane)の『The Old Ways:A Journey on Foot』。彼がこれまでに経験したきた色んな「歩行」に関するエッセイ――自分の足を使っての移動だけでなく、船での移動も含む――が集められている非常に愉快な一冊だ。 レベッカ・ソルニット(Rebecca Solnit)も素晴らしい一冊である『Wanderlust:A History of Walking』(邦訳『ウォークス:歩くことの精神史』)で語っているが、「歩行」のリズムが何かを「考える」のを手助けしてくれるのはマクファーレンも同じようだ。
『The Old Ways:A Journey on Foot』
私も同じくだ。とは言っても、私の場合は、歩いている時というよりは、愛犬と一緒に朝の公園を威風堂々と――つまりは、スローペースで――ジョギングしている時に、「考える」のがはかどることが多い。体を動かしていると、脳波も一緒に揺さぶられて頭が別のモードに切り替わる・・・なんていう仕様(しよう)にでもなってるんだろうかね? 何かを「考える」ために私がよく使う別の手が、「書く」ことだ。閃(ひらめ)いたことを紙の上なりスクリーン上なりに文字にして表さないと、考えをうまくまとめることができないのだ。そうしないと、閃きが意識をすり抜けていく感じなのだ。
何よりも難しいのが、座ったままで「考える」ことだ。これぞというアイデアを捻(ひね)り出そうとして机の前にどっしりと座っていても、これぞというアイデアはなかなか浮かばない。その一方で、体を動かしていると、これぞというアイデアがずっと浮かびやすい。創造のパラドックスと言えよう。
〔原文:“Walking, thinking and writing”(The Enlightened Economist, August 23, 2013)〕