スコット・サムナー「大人向けSFとしての日本」

[Scott Sumner, “Japan as sci-fi for grown-ups,” The Money Illusion, May 2, 2018]

SFは,特に若者に人気だ.年をとるにつれ,宇宙旅行の物語への私の興味は薄れ,したがってSFを読むことは減って他の文学を読むことが増えた.でも,異世界の物語への興味が薄れたことはない.そして日本が面白いのはその点だ.東京の各部がそれほど未来的に見えるというわけじゃない.江戸時代の日本にだってある種 異世界の暮らしがあったし,それが西洋での暮らしより明らかに劣ってるってわけじゃなかった.実際,1700年まで戻ってみれば東京は世界最大の都市で,120万の人々が実に興味深い文化を育んでいた.

日本を訪れた経験は,今後の私の人生で二度と無いくらい,異世界訪問の経験に近いものだろう.

PS. 最近の投稿で私はアメリカの「文化の盗用」なる狂った騒ぎをからかった.ニューヨーク・タイムズがこの話題に関して新たな記事を載せている:

ところが,この怒りのうずがアジアに達すると,多くの人が頭をひねる羽目になった.〔アメリカでは文化の盗用を行ったとして責められた〕Daumさん(中国人ではない)を批判するどころか,中国本土,香港,および台湾の多くの人々は,彼女が〔中国風の〕伝統的なハイネックのドレスを選んだことこそ,中国文化の勝利であると公然と語ったのである.

「他国の人々に我々の文化が理解されたことをとても誇らしく思う」と,Snail Trailと名乗る誰かが,ユタにおける〔Daumさんの〕ストーリーに関する微信(メッセージングおよびソーシャルメディアのプラットフォーム)の人気アカウントの,10万回以上も読まれた投稿に対してコメントした.

「これを文化の盗用などと批判するのは馬鹿げている」とZhow Yijun (香港の文化評論家)は電話インタビューで語った.「中国人から見れば,外国人女性がqipao 〔日本で言うチャイナドレス〕を着て,自分で可愛いと思ったなら,着るべきでない理由がなぜあるんだろう?」

むしろ,Daumさんのドレスをめぐる大騒ぎは,多くの中国人にとって自国における文化の盗用の例を熟考する機会となったようだ.

「そうすると,私たちがクリスマスやハロウィンを祝ったら,それも文化の盗用ってこと?」と微信のユーザLarissaはたずねた.

よい質問だ.少なくとも日本人と中国人は完全に正気を失ったりしていないようだ.

(これはかわいい.)

PPS. コメント欄の何人かが私という人間の信用に疑念を呈した.私はかかりつけの医者に私の能力を述べる書類を書いてもらおうと思う.きっとその書類には,私の輝くばかりのメンタルヘルスの状態が記載されるに違いない.

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