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タイラー・コーエン「アヘン戦争の経済的帰結」(2021年10月25日)

[Tyler Cowen, “The economic consequences of the Opium War,” Marginal Revolution, October 25, 2021]

――という NBER ワーキングペーパーが新しく出てる.著者は Wolfgang Keller & Caroline H. Shiue だ.アブストラクトを引用しよう:

本稿では,アヘン戦争(1839-42年)以後に西洋が中国に進出した経済的帰結を検討する.この時期に,西洋諸国による植民の影響が数十にのぼるいわゆる条約港に及びはじめている.本研究では,19世紀のあいだに中国の資本市場の性質に劇的な好転が生じていたことを立証する.アヘン戦争の前には沿岸部各地の都市は比較的に重要度が小さかった.それに対して,西洋の条約港システムによって,沿岸地域と国際貿易に注力し西洋の利益にかなった商売に従事する経済へと転換をとげている.本稿では,第一に,19世紀のあいだに西洋が中国経済にプラスの影響をもたらしたことを示す.この影響にともなって,地域の金利は押し下げられ,西洋の影響下にあった地域では産業成長と技術の取り込み進度の両方がペースを上げることになった.第二に,影響がおよぶ地理的範囲は港からはるか内陸にまで広がり,中国の大半に影響がおよんでいる.港の直近地域では金利が 25%以上も下がり,さらに,条約港から 450km の距離でも 10% 近く下げている.中国の発展を促進したものは,たんに 1800年以前のみずからの歴史だけでもなく,また,1978年以降の改革だけでもない.100年近く昔の準-植民地化によって,沿岸地域に注力した中国経済が形成されているのだ.

ぼくもアレックスも前に言ったことがあるように,経済学はいまでも「政治的に正しくない」研究結果を世に問いながらも身を滅ぼさずにいられる研究分野だ.


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