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タイラー・コーエン 「複利の力 ~経済成長率のわずかな違いも決して侮ってはならない~」

●Tyler Cowen, “Why the growth rate is important”(Marginal Revolution, August 20, 2004)


経済成長率の大小の重要性は時が経てば経つほど(より遠くの未来に目を向けるほど)ますます高まることになる。毎年の成長率が1%のケースと2%のケースを比べると、社会全体の厚生に生じる違いは単年度で測ると比較的小さいことだろう。しかし、その違いは時が経つにつれて非常に巨大なものとなるのだ。例えば、1870年から1990年にかけてのアメリカの経済成長率が実際よりも年率で1%だけ低かったとしたら、1990年時点のアメリカは1990年時点のメキシコとほとんど同じ程度の豊かさにとどまっていたことだろう。毎年5%のペースで経済が成長する場合、一人あたりの所得水準が500ドルから25,000ドルまで上昇するには80年程度を要する計算になる。一方で、毎年の成長率が1%の場合には393年を要することになるのだ。

以上の文章はつい最近執筆しはじめたばかりの本の草稿から引用したものだが、今のところは「人類の悲劇を巡る厚生経済学:経済政策に対する新たな理論的アプローチ」(“The Welfare Economics of Human Tragedy: A New Approach to the Theory of Economic Policy”)というタイトルにしようかと考えている1

政治的な左派に賛同しない理由を私なりに一文で説明しなければならないとしたら、経済成長に備わる長期的な便益――大きな大きな便益――について言及することだろう。左派好みの政策の中にも長期的な経済成長にプラスに働くものがあるとの反論もあるかもしれない。それは確かだが、仮に経済成長を促進する政策に賛同しない立場をとる場合にはその立場を支えるかなり説得的な理由をすぐに提示できるだけの用意をしておくべきだろう。

  1. 訳注;2014年現在も草稿段階の模様。次の論文がそれにあたるようだ。 ●Tyler Cowen, “Chapter two: How to Think About Policy(pdf)”(in The Growth Imperative: A New Approach to the Theory of Economic Policy)  []

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