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デイビッド・アンドルファット「年上の女を讃える」(2010年10月4日)

David Andolfatto, “In Praise of Older Women”1 , (Macro Mania, October 4, 2010)

どこで聞いてもアメリカの雇用情勢は悪いと言われる。だが、「悪い」とはどういう意味だろう?どれほど悪いかを証明する最もよくある方法は以下のような図表を使うことだ2

 (図表:不況期における民間雇用の急激な落ち込み)

ここも見て欲しい3 。これらは、景気循環ピークにある雇用水準を取り、ゼロを基準に合わせている。過去のいくつかの不況期が折れ線グラフになっているが、雇用の変化は各不況期の初めから見て取れる。そして今回の不況は悪そうだ。

上のような図表は興味深い。だがもう少し注意して解釈する必要があると思う。気付きさえしないかもしれないが、図表というのは頭の中にアイディアを植えつける。そのアイディアとは、データは定常4 平均に戻っていくのが望ましいというものだ。もっと大きく物事を見るほうが役立つことがあり、私はここでそれをやってみようと思う。

これが通常見られるよるも長い期間(1948年ー2010年)を横軸に取ったアメリカの雇用率(雇用数を人口で割ったもの)の図表である。

(図表:アメリカの雇用率)

まず初めに驚かされるのは、雇用率というのは定常ではないということだ。少なくとも、このサンプル期間においては。サンプル期間の初めの半分は大雑把にいうと定常に見えるものの、その後は徐々に上に伸びていき、1990年代のピークにたどり着く。そこからは(議論の余地はあるかもしれないが)下降傾向にある。最近の景気循環的減速はこの下降トレンドによって加速している(そして最近の雇用なき景気回復現象に寄与してきた)可能性がある。

もしトレンドが本当に下向きならば、政策当事者はどういう意味において雇用を以前の循環ピーク時まで戻したいのだろうか?「自然」雇用率が何なのか我々は知っているだろうか?

もしかしたら説明が必要なのは最近の下降トレンドだけではないかもしれない。1970年代半ばに起きた雇用ブームについてもひどく悩むかもしれない。下の図表が明らかにしてくれる

(図表:性別別雇用率)

ここで見て取れるのは、1980年代初めまで長期的に減少している男性の雇用率だ。対照的に、女性の雇用率は2000年まで着実に増加している。なので、総雇用の大きな増加は女性が就業することを選んだことによるものと説明できる。しかし2000年以降、雇用率は男女ともに緩い減少トレンドにあり、最近の不況で急激に減少しているのが見て取れる。

もう少し細かくカテゴリを区切ってデータを見てみよう。これが男性の年齢別雇用率だ。

(図表:年齢別男性雇用率)

これが何を示唆するかといえば、サンプル期間の前半で男性雇用が長期的な減少傾向にあるのは年配男性が就業しないことを選んだことで大部分は説明できる。この減少トレンドは1990年代初めのどこかで反転したように見える。年配男性の雇用増加を相殺しているのは若年男性の雇用減少だ。最近起こった不況は若年男性を特に大きな影響があった、年配男性の雇用率はほとんど動かなかったのにだ。

これが全年齢で見た女性の雇用率だ。

(図表:年齢別女性雇用率)

これが何を示唆しているかというと、女性の最近の長期的な雇用減少は若年女性の行動で大部分が説明できる(みんな大学に入学したのだろうか?)。だが、私がここでとてもおもしろいと思ったのは、年配女性が自分たちの労働力を提供することを選択したことだ。特に最近の不況の間にも彼女たちの雇用は拡大を続けている!

何が彼女たちのこの行動を後押ししているのか私にはわからないが、興味深いことだと思う。大きな負の総需要ショックが、経済の「年配」部門が生産する財とサービスの需要に大きなインパクトを与えなかったように見えるからだ。

(コメント抜粋) 

J教授

デイビッド、このことについて私は断続的に考えていたんだが、なぜ年配の男性がより就業せず年配の女性がより就業するのか、たったひとつの説明しか思いつかなかった。ひとつの職業に長く就業していて失業した男性は、現在の労働環境において必要とされるスキルを持っていないか、再訓練を受けたいという欲求がないのかもしれない。これは彼らの妻たちに働きに行かせることになる。年配の女性はより特化されていないスキル(例えばレジ打ち)だったり、より需要のあるスキル持ちで(例えば教師や看護師)、労働環境への復帰がよりスムーズに進みやすいのかもしれない。

これが(如何なる意味でも)完全な答えだとは思わないが、起こっていることの一部だと思う。

これは他の経済圏でも起こっているのだろうか?

  1. 訳注:ハンガリー生まれカナダ人作家スティーヴン・ヴィジンツェイの恋愛小説の題名「年上の女を讃える」からと思われる。 []
  2. 訳注:残念ながらリンク切れだが、ダラスFedの統計だったと思われる []
  3. 訳注:残念ながらリンク切れ []
  4. 訳注:統計学用語。長期的には平均値に戻っていく過程のこと。 []

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