タイラー・コーエン 「『アトランティス』 ~ウクライナの近未来を描いたディストピア映画~」(2022年3月5日)

●Tyler Cowen, “*Atlantis*”(Marginal Revolution, March 5, 2022)


昨晩のことだが、Apple TVで『アトランティス』というウクライナ映画を観た。2019年製作の作品で、舞台は2025年。ウクライナとロシアの戦争が終結してから一年後の世界が描かれている。放射能汚染だったり戦後のごたごたがあったりして、ウクライナの東半分は、人が住めないような有り様になっている。とは言え、戦争に勝ったのは、ウクライナだ。ロシアが敗北したのは、ウクライナ側のゲリラ攻撃を過小評価した結果だった。ロシアは、ウクライナが戦車を投入してくるものと踏んで備えていたが、予想が外れたのだ。ディストピアが現実となり、この世の終わりを迎えたかのような戦後の世界で、ウクライナ人が何をやって日々を過ごしているかというと、考古学者の真似事のようなことをやっている。戦争で廃墟となった跡だったり、ロシア兵の死骸だったりを掘り起こしているのだ。ウクライナの歴史を表現しようとしているんじゃあるまいか・・・と個人的には解釈した。

「SF(サイエンス・フィクション)」という触れ込みで封切られたそうな。

(追記)個人的には素晴らしい出来の作品だと思うが、万人受けはしないだろう。タルコフスキーを思わせる手法で撮られた映像も時折差し挟まれる。役を演じているのは、プロの俳優ではなく、退役軍人やボランティアや医療従事者とのこと。ウィキペディアのページはこちら。Varietyによるレビューはこちら

Total
26
Shares

コメントを残す

Related Posts