●Alex Tabarrok, “Should You Accept a Coffee at a Meeting or Interview?”(Marginal Revolution, January 2, 2018)
「真剣な打ち合わせの場や就職面接で、『コーヒー(あるいは、紅茶)でもいかがですか?』と聞かれたら、ありがたくいただくべきでしょうか?」。Quoraで、そんな質問が投げかけられている。「イエス」という答えが大半のようだが、私の答えは「ノー」だ。私の回答を以下に転載しておこう。
百科事典を売って回る営業マンだった時のことだが(大分昔の話)、訪問先で「コーヒーでもいかがですか?」と聞かれても、丁重にお断りしろと教えられたことを覚えている。その理由はこうだ。あなたが百科事典を売り歩く営業マンで、訪問先で商品(百科事典)について20分ほど説明したとしよう。その売り込みを通じて、あなたは相手に「あなたの時間」(20分)と「あなたの知恵」を差し出すことになる。それに対して、相手はどう思うかというと、「何かお返しをする必要があるんじゃないか」と感じる。百科辞典を買わないと、「あなたの時間」を無駄にしてしまうことになるのではないかと思って、少々の罪悪感を覚えるわけだ。何かお返しをしなくちゃという思いに駆られて、百科事典を買う方向に心が傾くわけだ。しかし、訪問先でコーヒーをいただいてしまうと、等価交換が成立することになってしまう。「あなたの時間」と「コーヒー」とのギブ&テイクだ。「あなたの時間」は「コーヒー」によって報われたので、「あなたの時間」は無駄にはならない。その結果、相手の側は、百科事典を買って報いる必要性をそれほど感じなくなってしまうのだ。