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ピーター・ターチン「“食物連鎖の下層を食べること”の闇の側面」(2021年3月6日)

The dark side of “eating lower on the food chain”
March 06, 2021
by Peter Turchin

9年前、私は人生において最も重大な決断を下した――いわゆるパレオダイエット1 に切り替えたのだ(「パレオ」は、少し誤解を表現だと過去のエントリで説明している)。もし切り替えていなければ、アメリカの肥満統計の上昇に私は貢献していたに違いない。パレオダイエットに切り替えてから、半年も経たないうちに、体重が20ポンドも減り、平均値は今の体重に落ち着いた。もっとも、体重は実際にはさほど重要でない。よりもっと重要なのが、切り替えてからの数ヶ月後に、総体的な健康状態の劇的な改善を私が経験したことにある。今、私は10年前より気分が良い、(間違いなく)10歳老化したにも関わらずだ。

大きく変えたのが、食物連鎖の最上位のものを食べるようになったことだ。純粋な菜食ベースの食事において、タンパク質を接種する唯一の方法は、穀物や豆類、つまり小麦や豆を食べることである。しかし、これら食品の排除がまさに、私の健康の改善に繋がっている。レストランで食事を食べた時、(小麦を使用しないでくれとハッキリと懇願してるのにも関わらず)シェフがソースに製粉小麦を使用すれば、私は知らず知らずのうちに少量の小麦を食べてしまう。翌日になって、私は毒が盛られことに気付く。

〔菜食ベースの食事における〕もう一つの要点は、タンパク質不足だけではない。人の体は、それほど多くのタンパク質を必要していないのだ。植物だけを接種する食事における、最大の問題は、健康に良い脂肪を十分に接種できないことにある。植物油を代用に取れば、体を毒してしまう。「脂肪を含む食品は体によい」と「脂っこいものを食べることには多くの根拠がある」を参照。

以上理由によって、私は現代のトレンド「肉を食べるのを止めよう」を警戒しつつ注視している。去年、イギリス最高峰の大学2つの内の1つがある街、ケンブリッジは、肉食を禁止した[訂正:投稿後のコメント欄での何件か指摘があったが、肉食の禁止は、街ぐるみではなく、学食のメニューから牛肉と子羊の排除であった。間違えた意見について謝罪する]。なのでケンブリッジは、私の行きたい場所リストから排除された(幸いにも数年前に訪れており、その時はまだ安全に肉を食べることができた)。ヴィーガニズムの流行が広がり続け、肉食が制限される(もしくはパレオダイエットに従う人々を絶滅に追いやる)のを、私は非常に憂慮している。

「お前は環境に配慮していない」と即座にどこからかお叱りが飛んでくるに違いない。しかし、私は環境を憂慮しており、私を最も憂鬱にさせる観察環境が、巨大な農地(例えばアイオワ州のドライブ)である。


引用元

このトウモロコシ畑の以前の風景と比べてみてほしい

引用元: Wikimedia

私が好む環境は、ナミビアにあるようなサバンナだ。


著者による撮影

できるものなら、こんなサバンナに住んでみたいと思っている。美的に美しく、生態学的環境は多様であり、生態学的に多種多様な環境は穀物の単一栽培ではない「食物連鎖の下層を食べること」を可能にするだろう。

実は最近、アメリカでは穀物畑を草原に戻す静かなトレンドが進んでいる。アメリカバイソン協会のような非営利団体によって行われており、彼らは、アメリカがもっと以下のような風景になるのを望んでいる。


引用元

牧場経営に切り替える個人農家も存在している。カーボン・カウボーイズによるこの素晴らしい映画を観てほしい。

食物連鎖を減らすような主張は、間違えた科学に依拠している。動物(肉だけでなく脂肪や内蔵)を食べると体に悪いのだろうか? ブルシット(たわ言)である。肉食こそが、我々を人間にしたのだ。環境に悪いのだろうか? ケンブリッジ大学が肉食を禁じたことへのジェームズ・リバンクスの反応を見てみよう。

 

〔上記引用ツイッターの呟き内容の日本語訳〕牧草飼育の肉を禁じてくれたケンブリッジ大学に感謝します。気候変動の主要要因に取り組む為、大学の投資ポートフォリオから化石燃料に消費している活動のものを売却し、あなた方の17,000ヘクタールの耕作可能な更地を変えてみるのはどうでしょうか?
これらは私の畑です。
本気を見せてください。

また、植物を中心とした食事への切り替えは、別の不慮の結果を生じさせるが、あまり論じられていないようだ。私はパレオ・ダイエットに切り替えた後、驚いたことに、自身の認知能力が向上したのに気づいた。思考は明晰になり、何よりも印象的だったのが、社会的知性がより鋭敏になったのだ。むろん、私のこの気づきは、科学で言うところの「アネクドータル〔訳注:裏付けに乏しく、自身の経験等の逸話的事実だけを論拠にした推論〕」である。しかし、理にかなった科学的根拠があることが分かっている。(例えば)少年刑務所で行われた幾つかの比較実験によると、オメガ3を補った食事を与えられた受刑者は、対照条件の受刑者よりも、はるかに社会的に適合したことが発見されている。むろん、オメガ3の最良の供給源は、草食飼育された反芻動物〔牛や羊〕である。シーフードもそうなのだが、残念ながら我々が世界中の海を重金属で汚染させてしまったので、魚を食べ過ぎるとヒ素中毒を引き起こす可能性がある。

後から考えると、これら発見は非常に理にかなっている。結局のところ、人間は「地球で最も賢い動物」になるため、主に植物を中心とした食事から、肉食中心の食事に切り替えて進化したのだ。これこそ、人間が大きな脳と高い社会的知性を進化させ(そして維持する)唯一の方法となっている。

〔訳注:以下多数書き込まれたコメント欄より重要度が高そうなコメントを訳出している〕

ベン・ボルカー 2021年3月7日午前1時8分

「ケンブリッジの街は、肉食を禁止した」の情報源を提示できますか? 私が発見できた限り、学食のメニューから牛肉とラム肉を取り除いた、とケンブリッジ大学が言及してるだけですね(2016年初頭でしょうか?)。
https://thetab.com/uk/cambridge/2019/09/24/farmers-outrage-at-cambridge-universitys-beef-and-lamb-ban-126292
https://www.hospitalityandcateringnews.com/2020/11/oxford-university-beef-ban/
https://www.bbc.com/news/uk-england-cambridgeshire-49637723

セインズベリー〔訳注:イギリスの大手スーパーマーケットチェーン〕の在庫をチェックすれば、当地で牛肉が入手できるのが分かりますね…。
https://help.sainsburys.co.uk/help/stockchecker/

ダン・B 2021年3月7日午前7時30分

ターチン先生、最近お元気そうで何よりです。2012年の投稿で「ビールをやめ、朝は2~3杯のコーヒーを飲むようになった」とおっしゃってましたね。まだ続けていますか? もし続けてらっしゃるなら、それがあなたの健康改善のほとんど、あるいは全てを説明していないとなぜ分かるのでしょう? 私自身のアネクドータルな経験からの知見ですが、アルコールの摂取を止め、加工食品を避け、果物や野菜を十分に食べれば、体調は驚くほど良くなると感じます。動物や脂肪を食べることに反対はしていませんが、動物食を中心とした食生活が人間の健康の万能薬になるかどうかには私は懐疑的です。

さらに私は、肉牛の牧草飼育や、バッファローの大草原への再放牧に大賛成しますが、現実に私たちが摂取している牛肉の多くは、CAFO〔集中家畜飼養施設〕や、ブラジルの伐採された熱帯雨林で生産されています。持続可能な食肉消費への転換は、規模的にはたして現実的なのでしょうか? 新石器時代以降の食生活で、78億もの人を養えるのでしょうか?

ダン(2003年にあなたの一般生態学を専攻していた学生)

ニック・ソープ 2021年3月7日午前11時24分

こんにちは。

まず第一に、メニューから肉を排除したのはケンブリッジ大学であって、「ケンブリッジの街」ではありません。もっとも、化石燃料への投資を続けながら、大学によるこのような行動が偽善的であるのには、私も完全に同意します。化石燃料への投資は、空の旅による排出量の10倍のCO2の排出を引き起こしています。
https://www.countryside-alliance.org/news/2019/11/cambridge-university-red-meat-ban-flight-of-the-h
前者の問題は、私の望みからすればあまりにゆっくりとしていますが、現在対処されつつあります。後者の問題は、最近だと少なくとも一時的には、意味をなさなくなっています。願わくば、あらゆる組織や企業が、COVID-19以前のビジネスでの航空旅行がどれだけ不必要であったのかに気付いて欲しいものです。
https://www.theguardian.com/education/2020/oct/01/cambridge-university-divest-fossil-fuels-2030-climate

第二に、あなたは、耕作地の1エーカー当たりの食糧生産量は、牧草地よりもはるかに多い事実を無視していませんか?
https://www.onegreenplanet.org/environment/world-hunger-population-growth-ditching-meat/
以上、あなたもお読みになれると思いますが、「1エーカーの土地では、牛肉は250ポンド、ジャガイモは50,000ポンド、ニンジンは30,000ポンド生産できる」とあります。また「植物ベースの農業は、動物ベースの牧畜が使用する土地の69%の面積で、動物ベースの牧畜よりもポンドにして512%多く生産できる」とあります。
https://humaneherald.files.wordpress.com/2017/12/animal-vs-plant-based-agriculture.pdf
むろん、全ての牧草地が耕作に適しているわけではないので、状況はそれほど単純ではありませんが、一般的な結論をほぼ確実にできる、大きな差です。

私は、肉、特にベーコンとラムチョップを食べるのが大好きなんですが、数年前に“Cowspiracy”というドキュメンタリーを見ました。このドキュメンタリーでは「グーリンピースのような大規模な環境保護団体は、「なぜ動物を使わない消費モデルを推進しないか」についてに主眼が置かれていました。ドキュメンタリーの中で、番組のクルーは、「ウチの畜産農場は持続可能です」と主張しており――実際に持続可能だった、小規模の畜産農場を訪れています。しかし、その持続可能な方法で、アメリカで消費されている牛肉量を全て賄おうするなら、アメリカ全土をこのような畜産農場で覆わねばならない、との計算結果がドキュメンタリーでは示されています。全土です。つまり、森林も都市も果樹園も耕作地も全てを牛肉の為の農場にしないといけません。もちろん、荒唐無稽な例えですが、小さな規模での持続可能性は、地球規模の視点から見れば必ずしも持続可能でないことを示しています。このドキュメンタリーを見て以来、私は肉の消費量を大幅に減らしましたが、悪影響はありませんでしたね。

ところで、グリーンピース(私は、地域での活動に焦点絞るのに決心する前は、グリーンピースでボランティアをしていました。変革はボトムアップでならねばならないと結論付けていたからです)が、ベジタリアンを推進していない、あるいは最近まで推進していなかったのは、私の見解では、単に支持者を多く失うかもしれないと想定していたからです。より幅広い大衆の支持と、この件での妥協によって、グリーンピースはより多くを達成できるとなんとなく考えています。私の知る限り、組織内で継続的な議論となっています。

また、耕作農法を比較した場合、牛の飼育と牛肉の加工は大量の水を消費するのですが、これは言及するまでもないでしょう。

オメガ3やその他の健康的な脂肪に関しては、肉の代わりとなる食品が存在しています。魚介類の多くは高水準のオメガ3を含んでいます(もし重金属が心配でしたら、魚介類を有害と決めつける代わりに、海を汚染しないことに関心を絞るべきでしょう)。そして、クルミ、亜麻の種、オリーブオイルなども〔健康的な脂肪の〕摂取源ですね。

最後に、穀物に関してですが、これは興味深いトピックです。私の姪は最近になって、グルテンを消費できないのが分かりました。姪が抱える問題は何年間も深刻さを増していましたが、やっとその問題を突き止めたのです。彼女は今や、バンを一切れ食べたらゴム風船のように腹ボテになってしまいます。ここ数十年、彼女のような過敏症が急増していますが、何か原因があるはずです。
https://www.beyondceliac.org/research-news/is-celiac-disease-on-the-rise/
〔あなたが提起している〕問題が複雑であるのは間違いないでしょう。あなたが経験している困難について語っている場面――特に外食時の困難です――に同情の念を覚えますので、誰かがこの問題について取り組んでくれるのを私は願っています。あなたは過去のブログのエントリで、新鮮な果物や野菜をたくさん食べるようになったので食費が増えた、と述べています。これは興味深いです。友人は数年前にアメリカを訪れたのですが(私はスペイン在住です)、林檎一つの値段と、ポテトチップスやトゥインキーの1袋の値段を比べて愕然とした、と言っていました。ここヨーロッパでは新鮮な野菜を比較的安く食べられるのですが、なぜアメリカではこんなに高いのか、私は不思議に思います。おそらく、小麦、大豆、トウモロコシ産業に交付されている補助金の一部を、葉物野菜の生産者に回すべきなんでしょう。
https://www.vox.com/videos/2018/3/22/17152460/healthy-eating-expensive
以上を参照してください。

とにかく、ブログありがとうございました。


ピーター・リチャーソン 2021年3月7日 午後5時9分

畜産の良い保護策を記載した論文です。

Raiten, D. J., L. H. Allen, J. L. Slavin, F. M. Mitloehner, G. J. Thoma, P. A. Haggerty and J. W. Finley (2020). “Understanding the Intersection of Climate/Environmental Change, Health, Agriculture, and Improved Nutrition: A Case Study on Micronutrient Nutrition and Animal Source Foods.(気候/環境変化・健康・農業・栄養改善の交差を理解する。微量栄養素の栄養学と動物源食品に関する事例研究)” Current Developments in Nutrition 4(7).


ピーター・ターチン 2021年3月7日 午前11時46分

ケンブリッジの街とケンブリッジ大学の違いについて指摘してくれた、ベンや他の人達。
あなた方は完全に正しかったです。罪は我にあり!〔ラテン語〕 ブログに訂正を追記しています。

ピーター・ターチン 2021年3月7日 午前11時59分

私の食生活について質問をくれたDanBさんやその他の人たち。
〔パレオダイエットに〕切り替えてから1年の内に、私は新しい食生活にほぼ適応しました。朝はコーヒーだけ。夕食まで炭水化物を摂取せず。穀物や豆類を全て排除して炭水化物を減らす。根菜類(ジャガイモやニンジン)も減らす(完全に排除はしない)。緑の野菜を沢山(毎日新鮮なサラダ)。黄色の野菜(カボチャやアスパラガス)と果物を多少。そして、もちろんワイン。週に1度の16時間の断続的な断食。私は快適な感じです。

ピーター・ターチン 2021年3月7日 午後12時10分

長期的な展望について質問した、ニック・ソープさんやその他の人達。
究極的には、私達がどのような道筋を辿ろうと、この地球が支えられる人類には限界があるのです。これは極端な反ユートピア、つまり500億人が多層構造の巨大都市に住み、ソイレント・グリーン(人工肉)を食べ、ヴァーチャルリアリティでの自然の体験に至ります。この反ユートピアは持続可能ですが、私はこんな世界に住みたくないですね。地球上の80~90億の人々を支え、全員の健康と幸福を維持しながら、自然環境の為に広大な土地を残すのが、〔現状では〕持続不可能であることに私は同意します。だからこそ、私達は世界におけるフットプリント(天然資源の消費量)を減らす必要があるのです。私は、いかなる抜本的な措置を支持しません。抜本的な対策を取らずとも、平均家族数はあらゆる場所で減少していっています。この減少は、富裕国だけではありません。そして、SFのように聞こえるかもしれませんが、今世紀末までには、太陽系の他の惑星への植民移民が始まるのを私は100%確信しています。地球の人口を40~50億人にまで減らせれば、様々な反ユートピアを回避できるでしょう。

  1. 訳注:狩猟採集民に倣って、肉や野菜を中心に食べ、穀物をなるべく接種しない食事方法 []

Comments

  1. 窪田 有一 says:

    ニック・ソープ 2021年3月7日午前11時24分さんのコメントの中で、[亜鉛の種]とあるのは、[フラックス(亜麻)の種]でしょう。

    • WARE_bluefield says:

      ありがとうございます。さっそく訂正しました。
      また何か間違い等あればご指摘いただけると幸いです。

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