タイラー・コーエン 「隕石の価値 ~天の災い? 天の恵み?~」(2003年10月14日)

●Tyler Cowen, “The value of a meteorite”(Marginal Revolution, October 14, 2003)


巨大な隕石があなたの家に落下してきて、屋根を貫いたとしよう。おかげで、家の一部はグチャグチャに。どう思う? 落胆する? ほくほく? あなたはどうだかわからないが、ニューオーリンズに住むとある家族は、ほくほくだったようだ。

「彼らは極めて幸運ですね」。そう語るのは、隕石学研究所の所長を務めるヒューアン・ジョーンズ(Rhian Jones)氏。うらみ節を若干のぞかせながら、続ける。「今回のような出来事は、大変珍しいことです。驚愕の出来事です。そのご家族は、2重の意味で幸運だったと言えます。隕石が落下してきた瞬間にたまたま家の中にいなくて無事だったという意味で幸運でしたし、隕石が家に落下してきたという意味でも幸運でした。そのご家族は、隕石が家に落下してきたおかげで、極めて特別な地位を手にすることになったのです」。

とある隕石ディーラーの見立てによると、件の家に落下してきた隕石は1グラムあたり8ドル~20ドルの値が付くのではないかということだ。隕石丸々1個の重量は推定で30ポンド。ということは、隕石1個のお値段は、108,862ドル~272,156ドルということになる。仮に月や火星から飛んできているとすれば(月隕石か火星隕石だとすれば)、100万ドル単位の値が付く可能性があるという。一方で、隕石の直撃によって家が受けた被害は、総額で1万ドル程度と見込まれている。この家族は、前々から憧れていたヨーロッパ旅行に出掛ける準備をしているということだ。

「隕石マーケット」(隕石の売買取引)の規模は、過去10年の間に拡大を続けてきている。その理由の一つとしては、インターネットの普及を挙げることができるが、その他の理由としては、サハラ砂漠や南極大陸で隕石が盛んに発掘されているため――隕石の新たな「供給」が増えているため――でもある。隕石の販売を手掛けているサイトの中でも評判の良いサイトはこちらだ。ebayでも隕石が売りに出されているが(私がチェックした時は、全部で759品が売り出されていた)、大体はお手頃な価格設定となっている。とはいえ、高級な隕石ともなると、何百万ドルもの値が付く場合もあるようだ。

隕石が落下してきて「被害を受けた」家族のエピソードの詳細は、こちらを参照されたい。ところで、隕石が直撃して家が被害を受けた場合に保険でカバーされる(補償される)かどうかはグレーゾーン(何とも言えない)らしい。隕石の衝突は「神の御業(天災)」(“act of God”)にあたるんだろうかね?

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