タイラー・コーエン 「遺体の誘拐」(2007年5月1日)/「脂肪を取り出すために誘拐して殺害?」(2009年11月20日)

至る所に市場があるようだ。
画像の出典:https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=23819734

イラクのバグダッドで、ギャングによる遺体の誘拐が相次いでいる。車を使った爆弾テロの現場から遺体が盗み出されているのだ。悲嘆に暮れる遺族から「身代金」をせしめるのがその目的だ。

バグダッドで蔓延(はびこ)る誘拐のおぞましい変種と言えるが、ギャングらは救急隊員の格好をして現れるという。溢れんばかりの亡骸が保管されている市内の遺体安置所に運び込むために、遺体の回収にやって来ましたと言わんばかりに。

遺体を回収すると、遺体安置所には運び込まずに、秘密の場所に隠しておいて、遺体を返してほしければお金――最大で2500ポンド(5000ドル)が相場――を払えと遺族に要求するのがお決まりになっている。多くの遺族は、警察には届けずに、言われた通りの額をすぐに支払うという。イスラム教の教えでは、誰かが亡くなったらできるだけ早く土葬しなければいけない決まりになっているからだ。

「死人の誘拐」という新たな闇ビジネスに手を染めているのは、シーア派の民兵組織とつながりがあるギャングらしい。彼らの多くは、通常の誘拐にも既に手を染めているという。

イラク警察によると、ギャングらは、車を使った爆弾テロの現場に出没することが多いという。車を使った爆弾テロでは、100体以上の遺体が路上に散乱することもある。現場は混沌としていて、警察も軍の部隊も救急隊員を名乗る人物が本物かどうか(身分を偽っていないかどうか)をつぶさに確認する余裕がないという。

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ペルーの警察当局によると、ギャングのメンバーが人里離れたジャングルで殺人を犯した容疑で捕まったという。人体から脂肪を取り出して、その脂肪を化粧品の原料として闇市場で売る目的で殺害したという。

・・・(中略)・・・

誘拐対策本部長のホルヘ・メヒア(Jorge Mejia)氏によると、三人の容疑者が人体から脂肪を取り出す目的で五人を殺害したと自供しているという。三人の容疑者のうちの二人は、液体状の脂肪が入った容器を持ち運んでいるところを警察に見つかって逮捕されたという。容疑者らの言い分によると、人体から取り出した脂肪は1ガロン(約3.8リットル)当たり6万ドルで売れるという。

容疑者らの自供によると、ペルーの首都であるリマの仲介組織に脂肪を売っていたという。警察当局によると、最終的にヨーロッパの化粧品メーカーに売られた可能性があるものの、売られた証拠は今のところ掴(つか)めていないという。

・・・と報じているのは、ウィークリー・ワールド・ニューズ誌・・・ではなく、ニューヨーク・タイムズ紙[1] 訳注;この件はペルー警察によるでっち上げの可能性があるらしい。。医療「専門家」らは、人体から取り出された脂肪の「闇市場」の厚みや流動性について、それぞれに程度の差はあれ疑問を呈しているようだ。記事の全文を読むと、人体からどうやって脂肪を取り出すかが図を使ってもっともらしく解説されている。ともあれ、化粧品を買う時は気を付けるべし。


〔原文:“Markets in everything, Baghdad corpse kidnap edition”(Marginal Revolution, May 1, 2007)/“Markets in everything?”(Marginal Revolution, November 20, 2009)〕

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1 訳注;この件はペルー警察によるでっち上げの可能性があるらしい。
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