ジョセフ・ヒース「アレク・ノーヴの偉大な一節」(2015年6月10日)

Great sentences: Alec Nove
Posted by Joseph Heath on June 10, 2015 | economy, environment

私は最近、アレク・ノーヴの”The Economics of a Feasible Socialism (revisted)“(『実現可能な社会主義の経済学[改訂版]』)をパラパラとめくって、20年前にアンダーラインを引いた箇所をチェックしていた。この本はおそらく、私の物事への考え方を根源レベルで変じさせた、十数冊の内の一冊だ。今から見ても、以下の一節は傑出している。

外部性は、所有の分離によって生じるのではない、意志決定単位の分離によって生ずるのである。

この短い一節は巨大な示唆に富んでいる。私が読んだ20年前時点では、こういった考えが、これほど明晰に、そして力強い説得力でもって表現されているのを見たことがなかった。資本主義の病理のいくつかは、企業の所有構造要素や、利潤への志向によって生じるのではなく、意思決定の分散化から生ずるにすぎないことが示唆されている。私に言わせると、このノーヴの見解、全ての環境保護論者が、理解し、把握する必要があるものだ。その中でも特に、資本家による企業所有を、生産者協同組合へと移行させることによって、環境に関して何か成し遂げられることができると考えている環境保護論者にとって必要だ。(ちなみに、この一説が含まれているチャプター「社会主義とソビエトの経験」は卓越した読書価値がある。)

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