タイラー・コーエン「GDP vs GNP」(2022年4月13日)

Tyler Cowen “GDP vs. GNP” Marginal Revolution, April 13, 2022

経済がどの程度うまくいっているかの物差しとして、GDPは過小評価されているというのがこの前のブルームバーグでの僕のコラムの主題。以下はそこからの引用:

外国からの直接投資をたくさん受け取っているアイルランドのような国の場合、GDPがGNPを相当程度上回ることになる。アイルランド政府によると、アイルランドのGDPは約3,700億ユーロだが、GNPは3,000億ユーロを下回っている。GDPとGNPの差の大部分は、外資保有の多国籍企業による利益流出によるものだ。

これはアイルランドに限った話じゃない。GDPとGNPに大きな差がある国は他にもたくさんあって、多くの発展途上国や時にはシンガポールもそこに含まれる。

従来、GNPが生活水準の適切な指標と考えられてきた。国内の住民は外資多国籍企業の利益についてなんら権利を持たないからだ。これは間違いではないけれど、答えとしては不完全だ。一国の将来の見通しについて言う場合にはGDPのほうが優れた指標になる。GDPの対GNP比が高い国は、特に有望と言える(いくつか注意すべきことはあるけれど)。

GNPと比較してGDPが高いことは、たくさんの外国企業がその国の国内経済の未来が明るいと考えていることのあかしだ。こうした企業はそこに身銭をきって投資している。

アイルランドの場合、イギリスが抜けた今となっては、ビジネスのみならず学校や一般生活においても英語が主要言語である唯一のEU加盟国だ。この事実が外国投資家を引き寄せている。また、アイルランドは比較的人口が過少で、才能ある外国移民の受入れにも寛容とみられている。さらに、アイルランドは主流政党が政権を運営していて、ヨーロッパのあちこちで問題を起こしているポピュリズムや排外主義の影響をあまり受けていないように見える。

こうした現実すべては将来の見通しを明るくさせるものだ。それに、将来を見据えたビジネスに対してアイルランド政府が比較的好意的だと考えるのも妥当なところだ。

これも注目:

GNPがGDPよりもずっと高い国もある。多額の外国援助を受け取っていた時期の東ティモールのような国だ。これは将来の見通しが悲観的であることを示していると考えている。GDPがGNPよりも高いことが将来を楽観視するあかしであることの裏返しだね。

いつか東ティモールに行ってみたいね

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