メンジー・チン 「ロシアの実質GDPの今後はいかに?」(2022年3月3日)

●Menzie Chinn, “Russian GDP Prospects Visualized”(Econbrowser, March 3, 2022)


ゴールドマン・サックス社が、ロシアの今年度(2022年度)の実質GDP成長率の予測値をプラス2%からマイナス7%へと下方修正した。ロシアの実質GDPの水準の推移をグラフにしたのが以下だ。


図1:赤色の実線は、季節調整済みのロシアの実質GDPの実績値(2000年を基準年とする連鎖方式で算出;単位は10億ルーブル)を表している。赤色の丸印は、IMF(国際通貨基金)による今年1月のロシアの実質GDPの予測値を表している。薄赤色の四角印は、今年2月24日時点におけるゴールドマン・サックスの予測で、2022年第4四半期のロシアの実質GDPの予測値が表されている。赤色の四角印は、今年3月3日時点におけるゴールドマン・サックスの予測で、2022年第4四半期のロシアの実質GDPの予測値が表されている。実質GDPの実績値も予測値も、いずれも対数値;データの出所は、OECD(経済協力開発機構)、IMF、ゴールドマン・サックス、私自身による計算。

 

(西側諸国による)経済制裁および(ロシア中央銀行による)政策金利の引き上げの効果を考慮した結果としての下方修正ということだが、ゴールドマン・サックス社の予測通りとなったら、2014年度を凌駕する勢いで景気が落ち込むことを意味することになる。

ロシアとウクライナが停戦に合意すれば、潮目が変わる可能性があることは言うまでもない。しかしながら、経済制裁は「粘着的」であり、一旦発動されるとなかなか解除されない傾向にあると指摘する声もある(例えば、公式通貨金融機関フォーラムのこちらのポッドキャストか、ワシントン・ポスト紙のこちらの記事を参照)。万事が友好的なかたちで解決されない限りは――どうもそうなりそうにはないが――、厳しい経済制裁とともに過ごす日々がしばらく続くことになりそうだ。

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