タイラー・コーエン 「心配事の有限性 ~新型コロナの流行に伴って、気候変動問題への世間の関心が薄れている?」(2022年10月29日)

人が一度に抱え込める心配事の数には限りがある。そのせいで、新型コロナが流行するのと引き換えに、世間の関心が気候変動問題から逸らされる格好になっている。

●Tyler Cowen, “The finite pool of worry”(Marginal Revolution, October 29, 2022)/【訳者による付記】タイラー・コーエン「コロナウイルスによって進歩派左翼は死んだ」(227thday氏による訳)もあわせて参照されたい。


限りある(非弾力的な)資源がここにも。

人が一度に抱え込める心配事の数には限りがあると説く心理学の理論の一つ(Weber, 2006)――Finite Pool of Worry(FPW)仮説――によると、人は複数のネガティブな出来事――不安や心配といったネガティブな感情を引き起こす出来事――に同時に向き合うのを避ける傾向にあると想定されるが、そのことを裏付けるかのように、 新型コロナに対する世間の懸念が高まるにつれて、気候変動問題から目を逸らす傾向が強まっているようである。そこで、本稿では、2019年から2021年までの間にTwitter上でつぶやかれた気候変動関連のツイート(ツイート数やツイートの内容)を検証した。その結果はというと、新型コロナの感染者と死亡者数が増えるにつれて、〔気候変動問題についてつぶやくツイートの数が減るだけでなく〕、気候変動問題についてつぶやくツイートでネガティブな感情が吐露される機会が減っていることが明らかになった。気候変動問題についてつぶやくツイートで、(心配や不安と関わりのある感情である)恐怖や怒りが表現される機会が減っているのである。本稿で得られた一連の結果は、FPW仮説を支持しているだけでなく、新型コロナが流行するのと引き換えに、世間の関心が気候変動問題――気候変動を和らげるにはどうしたらいいかという重大な問題――から逸らされる格好になっている可能性を示唆している。

論文のリンクはこちらtekl経由で知る)。一度に抱え込める心配事の数には限りがあると聞かされて、どう思ったろうか? やきもきしてる?

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